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世界はまだ、俺が魔女で聖女だと知らない  作者: 月森 朔
第6章 くノ一になった日

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第13話 ダンジョンシードと依頼

ガームドさんとの会議です。

 分身保険となってくれた霞を見送った後、俺はガームドさんたちとの会議のため名古屋ギルドへと向かった。

 今回は、ダンジョンシードなどの込み入った話をしたいらしい。俺の正体も知っているメンバーだけで行うので、特に変装などはせずに向かう。会議室に着くと、ガームド局長、天白支部長、南さん、ひよりが既に会議室にいた。ひよりも変装はしておらず、元のボーイッシュな少女の姿のままだ。


「揃いましたね。始めますか」


 天白支部長が仕切るようだ。


「では、最初にダンジョンシードについて分かっている範囲でお話しましょう」


 ガームドさんが映像を見せてくれる。


「これはダンジョンシードと呼ばれているものです。正確には、私がそう名づけました」

「ガームドさんが名づけたんですね。誰が発見したんですか?」

「私です」


 ガームドさんが事も無げに答える。


「ダンジョンシードの話はギルドの支部長以上にしか情報共有がされていません。そして、ガームド局長がバリバリの探索者だった20年前に発見されたんです」


 天白さんが補足をする。ジェシーたちの先日の新ダンジョンの件を加味すると、もしかして出来て間もないダンジョンにでも潜ったのかもしれない。


「隠し事をするつもりはないので、知っていることを話しますね」


 ガームドさんは、さらに何枚かの写真をモニターに映す。


「このダンジョンシードは、ドイツのミュンヘンで発見したダンジョンを完全攻略した結果、その場に現れたものです」

「もしかして、完全攻略をしたのはガームドさんですか?」


 南さんが質問をする。


「その通り。私のダンジョン単独踏破の記録は、そのミュンヘンのダンジョンで作りました」

「単独って本当ですか?」


 俺の質問に、その頃のガームドさんの写真が映される。筋骨隆々で、背丈よりも大きな斧を担いでいる。そういえば、ガームドさんの2つ名って、戦斧の鬼神だったよな。


「本当です。これは、ごく一部のメンバーにしか明かしていないですが、ここのメンバーなら良いでしょう。私は、そのダンジョンの単独踏破にてユニークスキルを手に入れています」


 えええ? そんなこと話していいの?

 でも、忍者黒壁が言っていたダンジョンを少人数で攻略したほうがユニークスキルを得やすいという話に合うし、この間のジェシー達にもユニークスキルが云々といった話を聞いている。つまり、本当に単独で出来立てのダンジョンを攻略し、そこでユニークスキルを得たんだろう。


「ユニークスキルとは何ですか?」


 南さんが質問をする。


「ある特定の人しか持たない固有のスキルの事だと思われます。確証が無いのが、スキル情報が自己申告による情報しか存在しないため、裏付けが完全にはできないためです」

「ガームドさんは、どんなユニークスキルをゲットしたの? 僕、興味あるな」


 ひよりが小首をかしげる。さすがに、スキルの詮索は良くない。ガームドさんも断るだろう。


「ハヤト先生がそうおっしゃるなら黙っておく必要はないですね」


 あっさりと承諾したわ。さすが、ひよりに心酔しているガームドさん。


「実は未来視ができるスキルで、時の囁きというスキルです」


 未来視とは、またすごいスキルがきたな。ひよりがクスリと笑う。


「僕さ、何かを解析したり知ったりする系統かと思ってたんだけど、やっぱりねー」


 ひよりの言葉にガームドさんが「さすがハヤト先生」と感心の声を上げる。


「こんな話聞いちゃっていいのかな。消されたりしないですよね。ちなみに、どこで気づいたんですか?」


 天白支部長がぼやきながらひよりに訊ねる。器用なことだ。


「割と最初さ。漠然と思ってたレベルだけど、ガームド局長は最初から僕たちのことを支援してくれたでしょ。初めは、ギルドの方針かなーって思ってたんだけどさ、少数の新興のクランを信頼するのにしては全力で支援してくれたでしょ? なんか他に理由があるんじゃないかなって思ったんだ。そして、その仮説がこの前のサンフランシスコでのアビスヴォーカの事件で、より確率が高まったんだよね」


 つまり、ガームドさんが俺たち…じゃなく、ギルド幹部の代わりにファーストクラスに乗せてフレイヤたちを送り込んだのは、あんな騒動が起こるのを予測してのことだったってことか?


「あの、ハヤト先生。それだけ聞くと、テロリストがいると分かってエバーヴェイルさんたちをサンフランシスコに送った悪逆非道の人物みたいに聞こえます。時の囁きは、すこし違うんです。これは、自分の意識が向いたものに対し、『こうしたほうがいいよ』『こっちのほうがいいよ』といったおすすめだけを伝えてくるダメスキルなんです」


 自分でダメとか言っちゃったよ、ガームドさん。


「えーと、結果がわからないけど、こうすべきって言ってくるスキルなんですね」


 南さんが理解した内容を質問として投げる。それに、ガームドさんが高速で何度も頷く。


「じゃあ、ガームドさんは、ギルド幹部の席を取り上げてもフレイヤ達をサンフランシスコに行かせた方がいいよって言われたんですね。そのダメスキルに」


「そうなんですよ。笹木さんもダメスキルだと思うでしょう? 常に、ネタばれが無い中、よくわからない選択肢を取らされるストレス。そして、何が変わったかがいまいち分からないという場合もあるんですよ」


 確かに指示だけされるのは困るな。


「でも、そのダメスキルが外れることがないんですよね。いつも、良い結果を生みます。しかし、騒動に巻き込んでしまってすみませんでした。時の囁きは、その事象に影響のある方に詳しく話をすると上手くいかないんですよね。そのため、エバーヴェイル側には何も伝えておらず、本当に申し訳ありませんでした」


 ガームドさんはそういうと、テーブルに額をごりごりと擦りつけ、頭を下げる。また、日本人の奥さんに礼儀だとか色々と教えられたんだろうか。頭の下げ方に、歴戦の日本のサラリーマン感を感じる。


「しかし、エバーヴェイルを全力で支援すべきと言った時の囁きには感謝しています。おかげで、新たな力を人類が獲得してきていますし、私はハヤト先生という偉大な師に逢えました」


 ガームドさんからの告白を整理しながら、南さんが用意してくれたお茶をすする。


「ガームドさんの話になっちゃいましたね。ダンジョンシードに話を戻しますか」


 そこからはダンジョンシードで分かっていることを教えてくれた。物質はダンジョンで採れる魔力の籠った岩と同様の材質だそうだ。熱の伝達が悪く、軽石のような構造をしているらしい。


「仮説ですが、これが30年前、空から降り注いだんだと思います。そして、これがその時の衛星のデータからできた落下の予測分布図です」


 この前、メルが若返らせた宇宙飛行士が立派に役目を果たしたらしい。陸地への落下が多い。中には海もあるのだが、少ないはずの陸地に落ちたのは意図的にそこに送り込んだことが予測できる。


「ダンジョンシードは陸地、それも人口密集地を狙っているような形です」


 例外はあるが、人が住んでいそうな場所に集中している。あれ? でも、こんなのが降ってきたら、このビルに被害が出そうなものだけどな。


「質問ですが、こんなに一度に落下したら落下時に発見されるんじゃないんですか?」


 南さんも同じことを思ったようで、質問をする。それに、ガームドさんもニコリとする。


「いい質問です。これも仮説ですが、このダンジョンシードは、地表に着く前に別空間に埋没するんだと考えられます。そのため、密室の建物の中に突然ダンジョンが現れるような現象になるんだと思われます」

「状況の説明がつきますね。名古屋ダンジョンも一階の奥の倉庫だったところに突然ダンジョンが開いたと聞いてますし」


 南さんのコメントを含めて、ダンジョンシードを見つけようとするのは一筋縄ではいかないことがわかる。


「アリスさんは既存のダンジョン間を移動できると聞いていますから、なんらかのダンジョン感知の能力もあるんじゃないですか?」


 ひよりがこちらを見てくる。まぁ、それくらいは明かしても問題ないだろう。


「アリスはダンジョンを感知できますね。地球の裏側もわかるくらいの広範囲です」


 俺の言葉にガームドさんが手をパンと叩く。


「素晴らしい! すでに安全地帯の構築で力を貸してもらっていますが、お願いを2つしたいのです」


 なんだろう。未知のダンジョン探しだろうか。


「1つ目は、移動しているダンジョンシードを見つけたら教えて欲しいのです」


 南さんが「あっ」と声をあげる。


「すみません。アビスヴォーカを探すんですね」

「はい、今回のアルカトラズでどうやったのかはわかりませんが、ダンジョンシードを持ち込んだとしたら、アリスさんには分かるかもしれません」


 確かに、大胆に動いてもらったらわかるだろう。


「もう1つは、出来るのか全く不明ですが、地球外にダンジョンが無いか見てもらえませんか?」

 意図を少し考える。そして意図が見えてきたところで、先にひよりが反応する。

「ダンジョンを送り込んできた誰かの所にあるダンジョンを感知するんだね」

「はい。ハヤト先生、その通りです。宇宙から来たと確信しているダンジョンシードですが、その落下時の軌道からは何処から送られたものか割り出せなかったんです」


 大まかな方向は分かるが、宇宙で大まかな範囲は途方もない広さになるわけだ。


「ダンジョンガイダンスにデータを入れたので、感知範囲を狭める助けにはなるかと思います」


 ガームドさんの話を聞いたことで俺は新たな考えが生まれた。いや、思い出したに近い。俺の黒歴史の小説ではダンジョン人の星に乗り込んだのだ。その方法はダンジョンのゲートみたいなものを使ったとかそんな感じだったと思うが、あいまいな設定だったと思う。ダンジョンを送り込んだ者たちとの邂逅は、アリスのラビリンス・ドリフトが握っているのかもしれない。

さらっとガームドさんの秘密がばらされましたね。

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― 新着の感想 ―
ちょっと精神衛生的によろしくないだけで、「結果オーライ」を毎回引けると考えるとバカ有用なスキルだな…… しかし現代ダンジョンものでは中々ないタイプのダンジョン由来。おらワクワクすっぞ。
ダメスキルとは言うけど、分かりにくいというかスキルが説明力ダメダメなやつってだけで 能力自体は有能そう。 逆に従わなかったときの例も説明してもらえると嬉しいかも?
>さらっとガームドさんの秘密がばらされましたね。 どの道バレてたと思うから思ってる時に言って正解かと思うね そしてダメスキルとは言うけどあるなしで全然結果が違ってくるからガームドさんのスキルは正解への…
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