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光の彼方の音  作者: magnolia
序章 -転がり落ちた先-
7/30

7 微睡



地面が揺れているような感覚がする。


何でだろう。


いや、むしろ自分が目を回しているのか。



この感覚は…調子こいて飲みすぎてベッドにダイブ。それから目を瞑った時の感じに似ている。女二人で日本酒の一升瓶を開けて、挙句ワイン、焼酎、カクテルと飲んだ時だ。

「酒は飲んでも、飲まれるな」

先人の方々は実に上手いことを言ったものだ。実感しないと分からなかったが。



自分が横たわっていることもぼんやりと感じ取れた。

また、床で寝てしまったのだろうか。



身体が酷くだるい。目は開けたくない。



あぁ、何だ。随分嫌な夢を見た気がする。やはり、急に頭にモノを詰め込むのはよくなかった。何事もホドホドが肝心。ペース配分が下手な自覚はあるけど、改善できなきゃ意味がない。ノってくると止められずきりがいい所まで仕上げたくなってしまう。



そんなことだから壮大なスケールの夢を見た挙句、疲れたのかもしれない。


疲れた時、良く眠れるって人も多いと思うけど、私はそうではない。


むしろ逆。


それまでフル稼働してた身体のパーツがクールダウンし切れない。



以前もレポート完徹で仕上げて寝たら、1000段はあろうかという階段の天辺から転がり落ちる夢を見た。あれは死ぬほど怖かった。なまじ現実の階段を落ちた経験が多々あるだけに。運動音痴なのだ。



現実で疲れた挙句、夢の中でも疲れるというのは救われない。せめて夢を見ずに眠れたらいいのに、しっかり見てその上目が覚めても憶えている。身体も頭も器用にできていない自分が恨めしい。




でも、今回見た景色は綺麗だった。本当に。

それだけは憶えておきたい。


 

 だけ。


 なぜ。


 ほかにも。

 

 なにか。

 

 あった。

 

 きがする。


 なんだったのか。



とっ散らかった頭の中で、酷い目にあったのは思い出せた。

闇に怯え歩き回った記憶、追われた記憶、殴られた記憶。



 

 で も、そ の 先 は ?




子供が苛立って落書きしたみたいだ。

絵を描いたあと、気に食わないからと黒のクレヨンか何かでぐりぐりと塗り潰す。

下の絵が見えなくなるくらい、ぐりぐりと。



やがて、ソレは黒一色になった。

なぜか酷く安心した。



また深い眠りへの波が来る。

このまま(たゆた)うまま、眠ろう。



ひどいコトはもうない。なかった。



次に見る夢は違う夢を。




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