表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
光の彼方の音  作者: magnolia
序章 -転がり落ちた先-
3/30

3 断章

今回は短めです


略奪され、燃え落ちた集落の前で佇む影があった。

その隣にはラルパと呼ばれる騎乗用の生き物が手綱を握られてふんふんと鼻面をひくつかせている。


影自体は人。

年の頃は20代後半から、30代の半ばあたりと思わせる男だった。

痩せている訳ではないが、上背があるためひょろりとした印象を受ける。

ただ身体つきを見るときちんと厚みがあり手足は長く、それでいて引き絞られたものだ。


腰の両側にあるのは双剣。


しかし武を使う者にしては荒んだ印象はなく、どこか人生に諦観ていかんしたような雰囲気を漂わせている。目元を隠すほどにまで伸びた濃紺の前髪が表情に影を作り、面差おもざしをはっきりとさせない。




「…まもりに綻びが生じ出しているのは事実のようだな」


男はひとりごち、鬱陶しげに髪をかき上げ、手をあわせる。

前髪から覗く瞳が、髪と同じ濃紺から銀色の光を宿すものへと変化する。

口から紡がれるのは空気を揺らし、世界を動かす『音』だ。


「世界を成さしめる全ての音よ。その力もちて、過ぎ去りし時を顕現けんげんせしめんことをここに願う」


そう言ったあと、男の脳裏には断続的なが浮かぶ。


それは、風景を俯瞰ふかんしたようなもの。


過去の残滓ざんし


或いはその欠片かけらだ。




 ―集落に近寄る、3人の男。

 ―荒んだ印象の服装。傭兵崩れ

 ―略奪・暴行・殺人・放火

 ―火を放ったのは深更しんこう

 ―その足で、ラルパに乗り、立ち去る姿。北へ向かう残像





ふっと意識が現実に戻る。

合わせた手を解き、軽く頭を振る。


「北のハクの森に向かった、か。おそらくは調律者ちょうりつしゃ目当てだろうが…。」


眉をひそめ、ラルパにまたがる。

そしてその人物は、後を追うかのように北へ向かった。









  ***









存在すら忘れられた書物に綴られた、ある話があった。

もう、その物語を知る者もほぼなく、その書物自体も遠き過去。

誰も知らない事ならば、無かったもの。それでいて在ったはずのもの。




 世界に闇ひしめき、混沌のとばり降りしその時代とき


 小さき者、人と呼ばれし者。


 迫り来る恐怖に身を投げ打ち、あまねく天地に祈りをささげん。


 祈り虚しく、大地割れ、風は逆巻き、母なる海はその姿を消したもう。


 闇はより深く世界を砕きゆき、煉獄れんごくは広がるばかり。


 小さき者が挑めどもそのすえにあるは、物言わぬ数多の亡骸むくろ




 

 なれど現われし光明あり。


 捧げし祈りに導かれる者。


 光より現れし者、金の瞳を宿す者。


 大いなる力を秘めし者なり。


 森羅万象の『音』を統べ、闇に挑み、そを打ち破らん。


 その者、『音』をしてそを封印す。


 これにより人々、その者を『音を統べる者』と言い交わさん。





 再び世界に影が落ちる時


 その者、世界に光を取り戻さん…






やっと、主人公以外の主要人物が出せました…。

でも名前も出てないですねorz

次回には彼のお名前も出せます!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ