1ー1破談
色をまとうものは、一応、悪と主人公達が戦う物語の予定ではありますが、ある一部の人間関係が非常に泥沼すぎて、人間関係が非常に汚いです。主人公達の両親関係であまり推しカプとか作らないことをお勧めします。そう言うの苦手な方は読む事をあまりお勧め致しません。私も誰が誰と誰で繋がってるのか書いてる側なのに混乱しました。こう言うのでも大丈夫と言う方は読みながら考察してくださると嬉しいです!
ある所に、夫婦が暮らしていた。夫の沢桔梗 秋桐。そして、秋桐の妻である花梨。二人は、学生の頃に知り合い、社会人になり、交際を重ね、めでたく結婚。毎日、幸せに暮らしていました。
2人は広い一軒家に住んでいた。リビングには、秋桐の趣味である絵描きの道具が画材専門店のようにずらりと並んでいた。イーゼルやキャンバスも整理されて置かれていた。
「秋桐、今日は、何を描いているの」
秋桐は、左手で紫に染まるキャンバスに黄色の絵の具を纏った筆を走らせていた。右手には、カラフルなパレットを持っていた。花梨に話しかけられ、筆を走らせていた左手を止め、花梨に振り向く。
「空を描きたいって思ってな」
キャンバスには、紫色に染まる空に輝く星と月が描かれていた。幻想的な空の絵に花梨は、見惚れた。秋桐は、自分が絵を描く趣味しか持てない自分に嫌気がさしていた。彼の中で花梨には、毎回同じような絵しか描けない男と思われているのではないかと気にした。だが、彼女は全くそんな事を思ってもいないのだ。彼女の中では彼の描く絵は、それぞれの絵にしかない魅力があると感じた。
「好き...よ」
彼女は、頬を染める。彼女が好きと言っているのは、この絵に対してかもしくは自分にたいしてなのか、秋桐は、わからなくなる。
それから数ヶ月経ったある日の事。1通のメールが、秋桐に届いた。久しぶりに会いたいと言うメールだった。差出人の名は、駒草だった。秋桐は、予定がない日をメールに書き、返信をした。
「秋桐、おめでとう。出産祝い絶対に贈るぞ」
「ありがとう、駒草さん」
駒草からの出産祝いの言葉に、秋桐は、微笑んだ。妻の花梨は、実家で用事がある為、同席できなかった。秋桐と駒草は、かつて同じ職場の上司と部下という関係だった。歳がかなり離れているが、アニメの話で意気投合し、今でも語り合う仲だ。駒草の優秀さは、前社長に認められ、現社長まで登り詰めた。
「実は、息子が結婚するかもしれなくてな。相手の子は、姉妹の妹なんだ。ちょっと気になる点があるんだが、両親がその子にしか、話しかけてなかったんだ。普通は、姉にも話しかけるもんだろ...。親は、姉妹平等に愛するものだろ。他人の家庭に深入りする気は起きないが。わしは、ちょっと見てて気になってしまってな...。まあ、でも孫の顔が見れたら、わしは幸せものだね」
「...姉妹を贔屓しても何も生まれませんからね...。生まれてしまうなら、恨み...くらいかもしれません」
駒草からの話題に、秋桐は、もしその両親みたいに自分が姉妹を差別してしまったらと、震えが止まらなかった。震える秋桐の肩に、駒草の手が添えられる。
「姉妹が生まれても、愛を注いであげればいい。姉妹の良いところ見つけて、しっかり、褒めて、伸ばしてやるんだぞ、お前が父親になる前の最後のわしとの約束だぞ、頼んだ秋桐」
それから数日後、秋桐のメールに、駒草から、息子の婚約は、破談になった、と。婚約者の両親は、代わりに姉を息子の嫁に、と紹介した。結局、駒草の息子は、姉と婚約することになった。と書いてあった。
何故そこまで駒草は、秋桐に話すかと言うと、先輩と後輩だった頃のことだ。秋桐が、一回だけ、会社を辞めようとした。その理由は、上司からの言葉の暴力だった。そんな時、駒草コマクサは、秋桐の相談を親身に乗った。当時の社長へ上司が秋桐に、言葉の暴力を振るって居た事を伝えた。当時の社長は、上司の素行を調べた。駒草コマクサと秋桐の、上司は同一人物だった。優秀な駒草を利用して、上の階級へ昇ろうと企んでいた為、駒草には、その上司から被害は全くなかった。秋桐を含め、他の部下達には毎日、言葉の暴力を振るう。当時の社長は、部下を救い出した駒草を、賞賛した。そして、次期社長まで登り詰め、社長に昇進した。
そんな事もあり、駒草は、秋桐の悩みを聞き、二人は親しくなり、家族の話もするようになった。
***
薄と薊は、新婚で夜を迎えるたが、部屋にはぎこちない空気が残る。二人は、べッドの上に座っている。だが、夫である薄は、妻に興味がないのか携帯を覗き込んでいる。薊は、チラチラと薄の様子を伺いながら、話しかけようとする。だが緊張して声が出ない。薊は、ほんの少しだけ声を絞り出す。
「ぁ...の...」
妻のか弱い声に、彼が反応した。彼に振り向かれ、彼女の身体がビクッと震える。彼は、面倒くさそうな表情だった。まるで、言いたいことあれば早く言えと、目で訴えてるような...。
「ん、何か用かね」
愛し合うべきな存在の夫の冷たい返事に、彼女は、胸が締め付けられる。まるで心に棘が刺さったようで瞳が涙で潤む。
「...な、なんでもない...。ごめんなさい」
沈黙が部屋を襲う。そんな沈黙に耐えられなくなったのか薄は、携帯の電源を切り、サイドテーブルに置く。そして、ゆっくりと悲しそうな表情を浮かべる妻に向きを変える。
「...薊」
薄に初めて名前を呼ばれ、嬉しくて薄を見つめる。そして、薄に微笑みかける。
「はい、なんでしょう」
「...あんま、その、じっと見ないでくれるかね...」
薄は、薊に見つめられ顔を赤くする。彼女は、薄の手の上からそっと手を重ね、握る。
「...その...薄と、もっと...夫婦らしいことしてみたいですから...」
薊の声が震える。彼は、薊に近付き、強く抱き締める。彼女の震える声が愛しいと思ったのだ。
「...薊」
薄の腕の中で、彼女の胸は、早鐘のように激しく高鳴っていた。両親から半ば強制された愛のない結婚。だが、二人は自分なりに相手に、寄り添い合いそうと、小さな一歩を踏み出そうとしていた。
***
それから、数ヶ月が経ち花梨は、雑貨屋で働いている。お腹の中に子が宿っているが、体調は良好だった。少しでも多く稼いで子どものために使いたいからと言う、花梨の意思で出勤していた。花梨は、高校の頃に仲良かった友達とお話をして居た。
「花梨、元気に働いてるみたいで良かった」
「ありがとう、蓬莱。蓬莱も大変そうだけど、来てくれてありがとう」
友達の、苗字は結婚後に変わった。だが、花梨からすれば、旧姓の蓬莱の方が印象が強い。その為、友達の結婚後も蓬莱と呼んでいた。
「妹のプレゼント用にこれ買っていきたいの。ここに売ってるカモミールティー、飲んだ事あるけどすごい美味しかった、妹も紅茶大好きだし、飲んでもらいたいなって」
蓬莱は、レジカウンターの上に置いたのは、小さな箱に入ったカモミールティーだった。自分が働いている店の商品を褒めてもらい、花梨は、胸が高鳴った。花梨は、頭の中である事が閃き、蓬莱に尋ねる。
「妹さん用のプレゼントなら、包装しよっか?中身わからない方が、嬉しいと思うよ」
蓬莱に聞くと、人差し指を顎に当て、上を向いた。小さな声で確かに...と囁いた。
「そうね、確かに中身を隠す方がサプライズ感あって、じゃあ、包装お願いね」
彼女が笑顔で言い返すと、花梨は頷き、レジカウンターの下にある、ミモザの絵柄がついた包装紙を取り出し、慣れた手付きで、キャラメル包装をし始めた。そして、最後に赤いリボンをつけた。蓬莱が受け取り、お会計をする。
「ありがとう、サプライズで渡すのだから中身がすぐにばれないのは、ワクワクするわね。妹の反応どんな反応してくれるのか気になるから、ありがとう、いつも綺麗に包装してくれて助かるわ、花梨」
蓬莱は、何かを思い出したようで、バッグの中を弄る。探し物が見つかったようで、花梨に渡す。
「これ、花梨にずっと渡したいと思ってたの」
花梨の手のひらには、おしゃれな瓶に入っているフルーツゼリーが置かれた。苺とキウイとイチジクが細かく切り刻まれている。美味しそうなゼリーに、花梨の目は輝く。
「こんな高そうなもの、もらっちゃって良いの?」
蓬莱は、笑顔で頷いた。花梨の肩をポンっと叩く。
「花梨には、学生の頃からお世話になってるし、つわり酷い時とかこれ食べて、元気出して。それに...、大切なお友達と、食べたの。とても美味しかった、忘れられない味なの」
語ってる蓬莱の顔は、笑みが溢れて居た。笑みが溢れるほどゼリーが、とっても美味しいと言うことだろう。花梨は、早く帰って早くゼリーを食べたいなと心の中で思っていた。