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星の降る夜に  作者: 美桜
3話、嵐のあと
8/13

3-1




ラナが来て3ヶ月すぎた日の夜、普段は穏やかな森に雨と風が吹き荒らし、雷が轟々と鳴り響いていた。夕飯をすませお風呂に順番に入るように言うも、ラグに座りなかなか動こうとしない双子は、椅子に座って紅茶を飲んでいる私の顔を見つめてくる。




「……なに、もしかして雷が怖いの?」



「だって……雨や風……特に雷はプラネウム様が怒っているから鳴るって言うし……」



「雷は女神からの天罰で悪い人に落ちるって…………」




ラグの上に座るポルスとカルスがお互いを抱きしめ合うのを見下ろす。昼からテギウスは森の方に行ったため家にはいない。ラナもラナでクッションの下で頭隠して尻隠さずの状態でプルプル震えている。




「ス、スバルは……怖くないの?」




ポルスの問に私は少し考えてから、私何も悪いことしてないし?と言えばピシャッ!!と私の背後にある窓ガラスに稲妻が走ったのが見えた…………



「もしかして、プラネウム様はスバルに、怒ってるのかも…………」



「何したの!?スバル、何したの!?」




カルスの言葉に騒ぐポルス。たまたまタイミングがあっただけさ。と落ち着かせるが……あまり効果はなく…………私は椅子から立ち上がって双子を抱き上げラグに座り、私の膝に座らせる。




「ここでこうして震えてても寝る時間が近づいてるし、そろそろお風呂に入らないと」



「やだ…………ポルスお風呂入んない!」



「ぼ、僕も…………」



「それはダメー。そもそも考えてご覧。二人が悪い子だなんて有り得ないよ。ポルスがご飯を作ってくれて洗い物はカルスが担当してくれる。洗濯物や野菜を大きくしてくれるのはカルスがしてくれるし、ポルスは動物たちと木の実やキノコ、魚なんかを取ってきてくれるし畑仕事もしてくれるいい子…………え、ほんとに女神は私に怒ってる感じ!?」




なんて少し慌てた私に双子は顔を見合せ、仕方ないなーと強ばっていた表情を少しゆるめ、私にぎゅっと抱きついた。




「ポルスはいい子だから一緒にお風呂入ったげるー!」



「スバルが女神様に怒られないように一緒に入ってあげる。今日だけだよ?」




そういう双子に私はありがとう!と真剣な顔で伝えれば双子はクスッと笑い私の膝から立ち上がる。



ラナも、一緒にお風呂入る?なんて声をかければ1度クッションに潜り込んでから顔だけをのぞかせ、仕方ないから入ってあげるぴょん。と耳をぺシャリと下げたまま私の頭に一飛びし着地した。




ぎゅーと腰にしがみつく双子の背に手を回し、頭の上でプルプル震えるラナに助かるー!と言いお風呂に3人と1匹で入った。




お風呂から上がり、各自部屋の前でおやすみ。と告げて自分の部屋に戻ろうとしたら双子とラナに一緒に寝てあげる!!と枕を持って部屋に突入してきた2人と1匹に苦笑しながら双子が私の両側に寝転び、ラナが頭の上に丸くなる。



電気を消さず寝転んで双子の話に付き合っていれば、双子の言葉数も減り気がつけば眠りについている二人。そっと頭を撫でて二人を起こさないように抜け出してから布団をかけ直し、ソファーに座りラナに視線を向ければラナは静かに私を見つめていた。




「テギウスから連絡は?テギウス、この嵐を予想して森に向かったんでしょ?」



「……テギウスさんから何も連絡は来てないぴょん。森に住むもの達は心配ないと思うぴょん」



「そう、ならいいんだけど」



「……スバルが森の生き物を気にするなんて、珍しいこともあるぴょん」



「そりゃね……ポルスのお友達だし食料運んでくれるし?それより、雷を怖がるなんて可愛いことしてるじゃない……」



「その方があざとかわいいぴょん」




計画犯だったかー。なんて背もたれにもたれ掛かる。ピンクのうさぎってだけで可愛いのにもっと可愛く魅せやがってーと笑えばラナは私の膝に飛び乗ってくる。撫でろと言わんばかりに体を擦りつけてくるので撫でてあげればフッと力を抜くラナ。




「それで?双子はこの嵐を女神様の機嫌だとか言ってたけど、それは本当?」




「本当ぴょん。プラネウム様は喜怒哀楽が激しい方ぴょん。嬉しければ空に虹がかかり季節外れの花が咲き、怒れば今みたいに天災が起きる。悲しければ雨や川、海があれ。楽しければ世界各地の協会のベルがなる」




ちなみにプラネウム様がベルを鳴らした3日後に結婚式をすれば必ず幸せになると言われてるぴょん!と言うラナに、いやいや、怒と哀の天災もいいとこだわ。と言えばクスクス笑うラナ。




「で、今回は何にお怒りなの?」



「それは、偽り聖女のせいぴょん。収まるべき場所に収まるべき人物がおらず、偽りの聖女をちやほやし、王子との婚約まで決めてしまった北の国の国王に怒っているぴょん」



「へー。でも別にプラネウム様が怒らなくていいんじゃない?」



「ぴょん?」



「だって、本人は全く気にしてないかもじゃん?その場に収まっていたら王子と結婚させられてたってわけよ?そんなの、自由がないわけだし王妃教育とか面倒なものを押し付けられてダラダラする暇なくない?ならさ、自由にダラダラしてる方が良くない?私はそう思う」




と、言うか……あの国も馬鹿だねー。聖女に清めてもらうために召喚したのにさ、婚約とかしたら国母となるために教育とかあるわけじゃん?それだと、清める時間なくない?と笑えばラナは顔をひきつらせ、笑えないぴょん。と呟いた……




「そもそも、瘴気ってなんで出てくんの?」



「それは……プラネウム様の力が弱くなり、プラネウム様が邪気を払えなくなるから?」



「へぇ。プラネウム様ってこの世界の神なんでしょ?ならさ、祈ればいいんじゃないの?」



「確かに、祈ればプラネウム様の力が強くなる…………」



「私の家ってさ、プラネウム様に願えば願うほど次の日にものが届くの知ってるよね?」




ぴょん。と返事するラナの頭を撫でる。




「言わば願いと祈りは一緒なんだよ!!」




「へーそうなんだー。ってなるかぁ!!」




勢い良く飛び跳ね私の腹目掛けて足が振り下ろされ、みぞおちにクリティカルヒットした私は腹を抑えて蹲る。




「祈りと願いは全然別物ぴょん!いい感じにまとめようと頑張ってたのは認めてやるぴょん。だけど、今回のまとめ方も全然まとまっていないしバカ丸出しで点数をつけるならゼロ点ぴょん!!」




激辛ァ~とうなれば双子の間に収まり、丸々ラナ。今日はそこで寝ろ。ばーか!と口の悪いピンクのうさぎを見つめながら、ここ私の部屋ね?と言うも、ラナがぴょん。と鳴いた瞬間電気が消えて無言をつき通される。私はため息をついてソファーに座りできるだけしんどくない体制で目をつぶる。




明日、そこら中が痛みませんように。と願いながら、明日には晴れればいいなーと考え眠りについた。





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