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ラナが我が家で過ごすようになり早くも二十二回目のあさが来た。家の外にはラナが来てからというもの、ラナの指導の元小さな畑ができ、土いじりをしていたカルスに【土魔法〈成長〉】と言う植物の成長を早められると言う技を発見した。それにより、野菜などに困ることはなくなり、お肉が恋しくなるほどに毎食、野菜が食卓に並ぶ。
魔法が使えるようになったカルスを羨ましがり自分もなにか発見できるのでは!?とやっきになってたポルスをどうにか落ち着かせて、今や自分のペースで頑張ることに決めたポルスは数週間前より綺麗になった気がする…………
さて、部屋の中から、自分で作り上げた麦わら帽子を被りラナと土いじりをしているポルスを眺めていればなんとなしに呟いたテギウスの言葉に引っかかった。
「なに、【錬金魔法】って…………」
「一般的には知られていないのだが、自分の知らないものでも形や機能を聞くだけで作り上げ、姿かたちさえもかえられると言う古代魔法の一つだ」
ほれ、お主がなんとなしに説明したものを願うまでにポルスが作ったことがあろう?確か…………アイポンだったか?と首を傾げるテギウスにアイホンね?と教えれば、そんなのはどうでも良い。と少し機嫌を損ねる。古代魔法、それはそれは。とテギウスを見つめていればテギウスはカルスの魔法も珍しい魔法の一種だという。全く、お主ら3人は一緒にいて飽きんなぁ。と笑う。
「…………ねぇ、テギウス。双子について何か分かることってあったりする?」
「あぁ、あの子らは見た目からして南の国の王の血を引く家系の子だろうなぁ。南の国では代々国の頂点に立つのは金髪でオレンジ色に近い瞳の色を持ち産まれるとされている」
「同じ親が種なら子は親に似るのでは?」
「いや、あの国だけは違う。国の頂点にふさわしい者だけが金髪のオレンジの瞳をもち産まれてくるのだ」
「…………なら、あの二人はどちらもふさわしいということ?ポルスは右目が明るいオレンジ。カルスは右目が暗いオレンジ。だけどもう片方の瞳の色はオレンジというより薄黄色でしょ?」
「…………なぜ片方の瞳がオレンジで、その瞳を持つ双子が産まれたのかはわからんが…………2人でひとつ。というものなのかもしれんな。どちらにせよあの双子は南の国の王族であり、南の国の跡目争いに巻き込まれこの森付近に捨てられたのだろうな……」
土いじりをするポルスに混ざりカルスも魔法を使い成長を速めるカルス。頼むからピーマンに似た野菜の成長は進めないで!?と窓から身を乗り出そうとする私を止めるかのようにテギウスが口を開く。
「いずれにせよ。南の国から双子を探す捜索部隊が派遣されるであろうな…………」
私は窓に背をもたれさせてテギウスに顔を向ける。なら、私は王子と王女を保護した平民と言う理由で賞状されたりする?と笑えばテギウスは少し考えてから口元を隠し笑う。
「賞状されれば良いが…………王子と王女を隠し攫った反逆罪と言う賞状が言い渡されなければ良いな」
なんて笑うテギウスに私は肩を落とし、再び窓に向かい、窓を開けようとドアノブに手をかけた私に再び口を開くテギウス。
「そういえば少し前に北の国で赤髪の女と黒髪の女を召喚したと耳にした。聖女は古来より黒髪だと言い伝えられておるゆえ北の国にきた赤髪の聖女は虐げられていたそうだ……」
「…………赤髪ねぇ…………この世界だと何も珍しい色でもないだろうに」
「そういうお主は見事な漆黒の髪色をしておるの……」
「髪の色は魔法で色を自由自在に変えれるし……何も珍しい色じゃない。だろ?私だって聖女に憧れる女の1人ってことさ……」
「ほぉ、お主が聖女に憧れる女の一人ということは知らなんだ……せっかくだ。プラネウム様に願ってみてはどうだ?ナイスボディーをとな」
「…………なんだ。知ってたの?」
「聖なる森に住む我々が知らぬわけが無いだろう。お主が国を追い出されこの森に足を踏み入れた瞬間、この森の主はお主だ」
の割には皆に敬われてないけど?なんて笑い窓を開けて窓枠に腰を下ろす。私に気がついたカルスが悪い顔でピーマンに似た野菜に手をかざし成長を進めているのを見ていれば、いつの間にか隣に立っていたテギウスが、もっとやれ。とカルスに言いながらも、お主は敬われるのは性にあわんだろう。と言った。
無言のまま無邪気?にピーマンに似た野菜の成長を早めているカルスに止めるように言いながら、確かに。と笑った…………