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馬花  作者: ハミル
44/54

102 ウオッカオレンジ


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振られた夜

いや、女の男に不貞を諭された夜

振られることすらできなかった


いい中年の俺が20代の女を20代の男から奪い去ろうとした

略奪の中途で男にバレて不義を咎められた


彼女を想うばかりの熱情で、我を忘れていた

現れたのが同性だったから俺の恋慕は一旦胸の奥に追いやるしかなくて、場面は緊迫に変わっていた

一回り以上の年下の彼に、俺の恋路を引き戻すよう説得されちまった


傷ついたとか情け無さとか

そんなのはどうでもよくて

何より、恥ずかしかった

いい歳して若い女と男の間に割り込むなんて、

穴があれば入りたいってのは、こういう心境なんだな


俺は45だ

先に彼の方に彼女に恋してしまったと、告げた方が正しい生き方だったのではないか

ふざけるな、くらいのことは言われるだろうし

そりゃ怒るだろう

コソコソ彼女を手に入れようとした

彼女を我が物にできたら男に解説しようとした

己の狡さが純愛を裏切って無性に腹が立った


しかも彼女は妊娠してた

それすら知らずに、

赤ん坊にまで怒りの産声を上げさせちまうところだった


こんな馬花な男がいるのかよ


いっそ殴ってもらえりゃ

痛みが俺の恥ずかしさを少しは吹き飛ばしてくれたかもしれないのに。

まだ俺の胸に、惨めさやズルサや不義や略奪がへばりついちまって、たまらねぇ


・・・・


コンビニで酒と煙草を買った

煙草は10年以上前にやめてるし、

ボクシングを始めてから酒も控えてたのに、

呑まれないと流石に保てない気がした


家に着いた

いつもより重いドアを引く


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「おかえりダディ」


「ただいま、アユラ」


察しの良い娘は、俺の表情と服装で大方の事情を見抜いたんだろう

この子は俺の恋を後押ししていた

俺が恋したチュリミさんとも仲が良いし、


「ごめんね、ダディ」


いや、としか言えなかった

背中を押した責任を感じたのだろう


俺は大馬花だ


風呂に入った

「馬鹿野郎」

風呂から上がると


花瓶のないこの家で

アユラが1.5ℓのペットボトルの上部をカットして

12本の赤い薔薇を挿していた


「ダディ、綺麗だね」



俺は煙草を喫まずに捨てた


・・・・


ウォッカに娘のオレンジジュースを注いで上がった

スクリュードライバーが俺の胸をエグったから


泣いちまった


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