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第二五部「黒い点」第1話(完全版)

    背後に気をつけろ

    目の前にあるものは

    未来とは限らない



      ☆



 もうすぐ夏が終わる。

 そう思うことで、やっと季節が移りゆくものであることを感じる頃。

 しかし残暑がしばらく居座りそうな、そんな八月。

 この地域ではお盆と言えばこの月。

 もちろん、まだ幼い絵留えるにとっては、地域によってお盆の時期が違うことなど知るはずもない。

 いくつも集合住宅が並ぶ街の中の小さな公園には、今日も絵留えるだけ。


 その日は暖かかった。

 小学二年の夏休み。

 絵留えるの一家は決してお盆や年末年始に実家に帰るという慣習かんしゅうはない。

 学校の同級生の口にする〝おじいちゃんの家〟〝おばあちゃんの家〟という感覚が絵留えるには分からない。だから、夏休みや冬休みに必ず行くような所があるわけでもない。

 さびしくないと言えば嘘だった。

 お盆が近くなると、遊ぶ友たちもいなくなる。

 遠くにお墓参りに行ったことはある。しかし、なぜか牧田まきた家はお盆には行かない。夏休みが終わる頃に、父の休みに合わせて日曜日に行くだけ。

 どうして自分の家だけ他と違うのか、その頃の絵留えるに理由は分からなかったし、聞いても適当にはぐらかされる。理由は分からなくても〝誤魔化ごまかされている〟感覚だけは幼い絵留えるにも感じ取れた。

 テレビをつければお盆の話題ばかり。

 しかし父がお盆休みを取ることはなく、その日も絵留えるは母と二人だけ。

 その母が近くのスーパーの買い物から帰ってくると、絵留えるはお気に入りの帽子を手にして外に飛び出した。

 いつもの団地の中の小さな公園。

 午後の日差しが暑い。

 そこには、数日前まではいつもの友たちがいた。

 行けばいつも誰かがいる場所だった。

 しかし、その日も静か。

 誰の声もしない。


 ──……これから誰かが来るかもしれない…………


 絵留えるがそう思って砂場にしゃがみ込む。

 ほんの数分でも、まだ幼い絵留えるには長く感じられた。

 まるで、世界が自分一人だけになってしまったかと思うようなさびしさと、それが作り出す静けさ。

 どうして自分には〝おじいちゃん〟も〝おばあちゃん〟もいないのか理解することは難しい。みんなのように遠くまで会いに行きたかった。

 そして足元の砂をいじる指が止まった時、絵留えるは視線を感じる。

 強い視線だった。

 顔を上げ、無意識の内に立ち上がっていた。

 その視線の先には、一匹の〝へび〟。

 真っ黒で大きなその〝へび〟は、微動だにしないまま、ただ、絵留えるを見つめていた。



      ☆



 そこは〝神無かみなしのやしろ〟と呼ばれた。

 とはいえ、知る者は清国会しんこくかいでも限られた者だけ。

 専属の接触組織が存在した。その組織────〝六神通ろくじんつう〟が清国会しんこくかいとの橋渡し役とされてきた。

 現在の雄滝おだき神社代表────清国会しんこくかいの頂点でもあった滝川恵麻たきがわえまであっても、その詳細は知らない。

 一般の人間では入ることの出来ない森。そこは古くから六神通ろくじんつうが守ってきた禁足地。その奥に、そこはあった。入ることの出来るのは六神通ろくじんつうの人間のみ。清国会しんこくかいの人間でも無断で入ることは許されない。そもそも入ることすら出来なかった。

神道しんとうの世界であるはずの清国会しんこくかいの中で〝六神通ろくじんつう〟とは…………そのいわれまではご存知なのですか?」

 雄滝おだき神社。本殿。

 まだ早い時間。強目の陽差しが黒いすすに包まれた祭壇に反射していた。

 風は無い。それでも流れようとする空気が、そんな恵麻えまの言葉をとらえる。

 祭壇を前に恵麻えまが背中で言葉を向けた相手は、そのだいぶ後ろ。清国会しんこくかいの組織の中で内閣府以外では珍しいスーツ姿の若い男だった。恵麻えまと年齢的にはそれほど変わらないように見える。二〇代であることは間違いないだろう。雄滝おだき神社をおとずれる六神通ろくじんつうの人間はいつも若い男だけ。しかもいつも違った。そして誰も名を名乗ったことはない。そのくらいに秘密の多い組織だった。誰が今の形にし、その組織を作ったのかすらも伝えられてはいない。

 さらにその男は年齢に反比例し、その言葉尻ことばじりはやけに大人びていた。

「なに、そもそもどれだけ昔に作られた組織なのかも分かる者はおりませんでしょう。なにせあそこは…………〝神無かみなし〟と呼ばれておる所…………神道しんとうも仏教も関係はございませんよ」

 恵麻えまの指摘した通り、六神通ろくじんつうとは仏教用語の一つ。六つの超常的な知識のことを表すもの。そんな名前を持った組織が清国会しんこくかい内部に存在していることが恵麻えまは以前から不思議だった。

 その恵麻えまが小さく息を吐いてから応えた。

「私も直接伺ったことはございませんが…………先程申し上げた通り、清国会しんこくかいはその組織体系を大きく変えます。これからは今までのような組織ではありません。それゆえ……〝あそこ〟にも私が直接伺うべきかと存じます。お伝えすることがございますので…………清国会しんこくかいたばねる者として────」

「なに、そのようなこと……我々から────」

 恵麻えまは背中で感じるその男の言葉尻ことばじりに嫌なものを感じながら、素早く遮る。

「いえ…………これも私の責任の取り方です。それに……私も最後に見ておきたい」

「理由は、それだけですか?」

 男の目付きが微かに変化した。

 恵麻えまは背中にその鋭さを感じるが、振り向くことはしない。そうすることで何かを見透かされそうな緊張も浮かぶ。


 ──…………人間とは思えん圧力だ…………


 そして口を小さく開いた。

清国会しんこくかいのトップとして……もちろん興味がありました…………以前から…………」

「では日時がお決まりになりましたらお呼び下さい。私共わたくしどもから伝えておきます。〝カバネのやしろ〟へ…………」


 その日の午後、恵麻えまおもむいたのは毘沙門天びしゃもんてん神社だった。

 決して明るい話を用意してきたわけではない。それでもなぜか参道の石畳を踏みしめる草履ぞうりが軽い。


 ──……やはり…………あの選択は間違っていなかった…………


 長い歴史を持つ清国会しんこくかいを、代表であった自分が実質的に終わらせた。

 組織そのものが無くなるわけではないが、それまでの清国会しんこくかいではなくなった。そしてまだその入り口に立ったに過ぎない。

 その決断をした。

 最初は先祖の御霊みたまがどう思うだろうかとも考えた。しかし、不思議と自分の決断が間違っていたとは思えない。例えそれがただの結果論であっても構わないとまで思えた。

 恵麻えまは産まれて初めて、自分を信じることを、信じられた。それまでは、何を思い浮かべても気持ちのどこかに何かくすぶるものがあったのが事実。少なくとも恵麻えまはそう感じていた。安易あんいにその感覚を〝疑念〟や〝罪悪感〟と言ってしまうことは簡単だっただろう。しかし何かが違った。まるでのどの奥に何かが引っかかっているようなスッキリとしない不快感。

 清国会しんこくかいいての決断の後、間違いなく気持ちは軽くなっていた。しかし、しなければいけないことはまだ多い。責任を取らなければならないことが沢山たくさん生まれていた。肩にかかる重責じゅうせきは大きい。

 それでも、それなのに足は軽い。

 そのことだけをとっても、恵麻えま萌江もえたちに感謝していた。何かから解放されたような感覚があったのは事実。

 だからこそ、久しぶりに萌江もえたちに会えることが嬉しかった。

 金櫻かなざくら家の末裔まつえいである萌江もえを信じた。

 今は自分が現在の雄滝おだき神社をまもる立場であることが嬉しくさえ思う。


 ──……これはさだめられていたことか…………


 ──…………萌江もえ様には笑われそうだが…………


 いつの間にか口元が緩む。

 参道の石畳から本殿に上がる数段の階段の上。そこには一人の人影。

 いつもの黒いゴスロリ。そこにチラつく白いレースのほうが生地きじが軽いのか、その部分だけが微かに揺れていた。


 ──……相変わらず派手はでだな…………


「……久しぶりだ…………西沙せいさ

 恵麻えまがそう言いながら見上げた先の西沙せいさにも、恵麻えまと同じく小さく笑みが浮かんでいる。

恵麻えまも元気そうじゃん。良かった」

 そう応えた西沙せいさが目を細めた。

 確執かくしつの深い間柄あいだがら。幼い頃から対立しか存在しない関係だった。

 恵麻えま清国会しんこくかいのトップ。

 西沙せいさ清国会しんこくかいの二番手である御陵院ごりょういん神社を抜け出して清国会しんこくかいに抵抗を続けてきた。その抵抗組織である〝へびの会〟を設立した人間でもある。しかも西沙せいさ恵麻えまでも恐れていたほどの能力者。

 間違いなく以前の恵麻えまの中には嫉妬しっとがあった。認めたくなかったそんなことが、今は懐かしくさえ感じる。

 お互いに、よもや和解出来るなどと考えたことはなかった。

 しかし、今は笑顔を向け合える仲。

 恵麻えまにはそれだけでも嬉しかった。

 これからどんな流れが待っているのかは分からない。それでも西沙せいさたちを信じることに疑問はなかった。

 清国会しんこくかいが責任を取らなければならないことは多くある。負の部分と言ってもいいだろう。組織を変えるということはそういうことでもある。変えると言っても、その言葉だけで終わりではない。


 ──……清国会しんこくかいを束ねていた者として、しなければならないことがある…………


 恵麻えまの肩に伸し掛かるものは大きかった。


 ──……私が、やらなければ…………


「お、その巫女みこ服、新調したの?」

 本殿の板間のすみで相変わらず想定外な言葉を投げかけるのは、やはり萌江もえだった。

 清国会しんこくかいが総てを投げ打ってまで追い求めた金櫻かなざくら家の唯一の末裔まつえい。その萌江もえが今は恵麻えまに笑顔を向けている。


 ──……まだ不思議な感じだ…………


 そう思いながら、恵麻えまは少し身震いのような感覚を覚えた。それまで感じたことのない感情。しかし不思議と嫌なものではない。


 ──……陽麻ひまの言うワクワクする感覚とはこういうことか…………


 萌江もえを通じて、妹である陽麻ひまの言葉を今さらながらに理解する。

 そして、やはり嫌ではない。

 清国会しんこくかいの中心であった雄滝おだき神社に産まれ育ち、その後継者として教育され、学校に通ったこともない。国の中枢ちゅうすうに入り込んでいた清国会しんこくかいからすれば義務教育などの法律に左右されることもない人生。もちろん友達などいるはずもない。その感覚すら知りようもなかった。一般的に言うところの、いわゆる世間せけんというものを知らない。

 それに対して妹の陽麻ひまは学校に通った過去がある。いざという時に雄滝おだき神社を継げるほどの能力がなかったことから一度は嫁に行くことまで話し合われた。しかしその分、恵麻えまよりも世の中というものを知っていた。現在は今までとは違った形で恵麻えまの相談役となっていた。

萌江もえ様にはそんなこともお分かりになるのですか? 久しぶりに皆さんにお会いするので、一応……失礼の無いように新しい物をと…………」

 人間関係の構築というものを知らない恵麻えまにとっては精一杯の返答だった。

 しかしそんな、どこか辿々(たどたど)しい恵麻えまの返し方ですら萌江もえからすると初々(ういうい)しい。

「可愛いとこあるじゃん。元々綺麗(きれい)な顔してるし、それならお婿むこさんも選び放題だね」

 そこに挟まるのは本殿の板間に膝を下ろした西沙せいさ

「ちょっと、世間せけん知らずなんだから変なこと言って口説くどかないでよ」

「まあ、私と咲恵さきえは可愛い子に弱いからなあ」

 応えながら笑みを浮かべる萌江もえに、釘を刺すのは隣で正座をする咲恵さきえだった。

萌江もえと一緒にしないでよ」

 そんな会話に入れるはずのない恵麻えまは、階段を登り切った所で膝を降ろし、両手の指を着いて深々と頭を下げた。

 そしてその声が本殿に流れる。

「改めまして皆様、お久しぶりにございます。本日は〝へびの会〟の皆様に接見せっけん出来ますこと、まことさいわいにございます」

 僅かに空気が引き締まった。

 すみ胡座あぐらをかいたままの萌江もえですら、少し背筋を伸ばす。

 毘沙門天びしゃもんてん神社に中心を置く〝へびの会〟の会合。決して定期的に行われていたわけではない。必要に応じて収集がかかる程度のものだった。しかも、今となってはそれも残り少ない。

 祭壇の前、そこにいるのは大見坂おおみざかかえで────この年の春に中学生になったばかり。幼いながらもその能力の高さゆえ、現在は正式に〝へびの会〟の中心人物。これからの処遇しょぐうをどうするかが問題となっていた。

 その横には母親の大見坂おおみざかしずく。元々内閣府の一員として清国会しんこくかいに属していたしずく西沙せいさと同じく組織に背を向けた人間だったが、そのしずくでさえ今は恵麻えまに柔らかい表情を向ける。

 そして、そのしずくが口を開いた。

「顔を上げてください。今は同胞どうほうです。遠慮えんりょはいりません」

 あからさまに堅苦しさの無い組織。組織という体裁ていさいを保つためにかえでのような中心人物は必要とされたが、決して厳格げんかくな上下関係があるわけではない。しかも清国会しんこくかいともあくまで同列。そこは清国会しんこくかいと少し前に共有された部分だった。

 以前の清国会しんこくかいのような厳格げんかく規律きりつを持った組織しか知らない恵麻えまにとっては、正直まだ戸惑うことは多い。しかしそこに不安要素はなかった。それはひとえに〝信頼〟に他ならない。

 今の恵麻えまには、明確に信じられるものがあった。

 しかしその存在たる萌江もえは決して自分を中心と思ってはいない。今も祭壇の前ではなくすみ胡座あぐらをかいているほど。組織のトップに立とうという願望はまるでなかったし、周りもそれは理解していた。

 しかし、いざとなれば前線に立つ。そして現場をまとめる。そういう強さを持った能力者。

 恵麻えまにはそう見えていた。

 そしてそういう人間が一番強いことを、今の恵麻えまは知っている。

 恵麻えまがゆっくりと頭を上げたところで、その萌江もえの声が届いた。

「で、どうだった? 例の〝カバネ〟は」

 必要以上に硬くなるなと言ったところで、今の恵麻えまにそれがまだ難しいことも分かっている。だからこそ強要などせず、手っ取り早く本題に移った。

 こと発端ほったん恵麻えまからの情報。

 萌江もえの〝命を創り出す力〟が明確になったことで、関連を感じた恵麻えまが動くことになる。

 これまで清国会しんこくかいの中で〝命〟が必要とされる神社が二つあった。〝水乃蛇みずのへび神社〟と〝毘沙門天びしゃもんてん神社〟。そこでは血を繋ぐために清国会しんこくかい婿養子むこようしや子供を用意するため、子供をさらってきていた歴史がある。しかし必ずしも理想通りの子供が見付かるわけではなかった。

 そんな時、清国会しんこくかいが〝命の調達〟のために契約していたのが〝カバネのやしろ〟。

「毎回……というわけではなかったんですね」

 咲恵さきえ恵麻えまに質問を向けた。

「はい……人攫ひとさらいだけでは用意出来なかった場合のみ…………ですが…………」

 そのか細くなった言葉尻ことばじりに、空気が僅かに変わる。

「……〝いのち〟を用意してもらうために…………我々も奉納ほうのうするべきものがありまして…………それが難しく…………」

 その恵麻えまの声が小さくなるにつれ、視線が落ちていく。

 全員が次の言葉を待った。

 清国会しんこくかいのトップである人間が、その組織のかかえてきた〝〟をさらけ出す。しかもその組織内ですら知る者が少ない事柄ことがら。それが簡単でないことは、その場の誰もが想像出来た。

 広がる緊張に、やっと恵麻えまの声が溶け込む。

「…………〝胎児たいじ〟を…………用意せねば……なりませんでした…………」

 静寂せいじゃくと共に、それまでの本殿の空気がよどみ、言葉が繋がった。

「……妊娠……三ヶ月から……六ヶ月…………性別は問わずに…………」

 言いながら、膝の上に置いていた恵麻えまの手が微かに震える。

 その空気に、萌江もえの目付きが変わったのに最初に気が付いたのは、隣の咲恵さきえだった。

 先天的せんてんてきに妊娠の出来ない体でありながら〝命を創り出す〟ことの出来る能力者。それゆえか、命というものに過剰な部分があるのだろう。

 咲恵さきえだけでなく、誰もがそれを意識した。

 西沙せいさも肩越しに萌江もえに視線をかたむける。

 萌江もえ恵麻えまを見続けていた。

 水乃蛇みずのへび神社のことも、ここの毘沙門天びしゃもんてん神社のの歴史も、どちらもこの場の誰もが知っていること。普通の血の繋ぎ方ではない。常にどこかの誰かの犠牲があった。しかも数百年の間、それが繰り返されてきた現実がある。

 それに加え、今回の恵麻えまに依頼した調査は萌江もえの能力の一端いったんが明確になったからに他ならず、だからこそ全員の気持ちが張り詰める。

 しかしそれを破ったのは、意外にも萌江もえの声。

「子供でも胎児たいじでも…………どちらも、地獄だったね…………鬼郷おにさと夫婦がここにいなくて良かった…………」

 毘沙門天びしゃもんてん神社をまもってきた鬼郷おにさと家。現在その立場にある宮司ぐうじ佐平治さへいじ巫女みこ結妃ゆいひ。どちらも〝作られたかもしれない命〟であることが示唆しさされた。

 萌江もえのその言葉に、恵麻えまが顔を上げずに返していた。

「…………本日……は…………どちらに…………」

 言いよど恵麻えまにも構わず、萌江もえは淡々と返すだけ。

「奥に小さな別邸べっていがあってさ。今日はそこに行ってもらってる。なんとなく、そのほうがいい気がしてさ…………」

「お会い出来ませんか…………」

 少し強くなった恵麻えまの言葉が続く。

「……私が直接、お二人に────」

恵麻えま────」

 遮った萌江もえが繋いだ。

「それは私に選ばせて」

 萌江もえの短くも強いその言葉に、恵麻えまは何も返せないまま。

 その姿に口の動きかけた西沙せいさは、膝の上の両手を強く握りしめていた。元は清国会しんこくかいの一員であった西沙せいさにも、真実を知った今、思うことはある。言いたいことはある。

 それでも口をつぐんだ。


 ──……感情的になったらダメだ…………萌江もえに任せろ…………


 そこに聞こえる萌江もえの声。

「今さら……綺麗事きれいごとを言うつもりはないよ。それでいいよね」

 強過ぎず、決してやわらかすぎもしない。

 そして、いでその声は西沙せいさに向けられた。

西沙せいさの中の音水ねすいちゃんは? 聞いてるの?」

 亡くなってからも西沙せいさ依代よりしろとしている藪沖やぶおき音水ねすい。〝カバネのやしろ〟の話が出た時点で、毘沙門天びしゃもんてん鬼郷おにさと家同様に〝創られたかもしれない命〟に大きく関わる水乃蛇みずのへび神社の巫女みこだった。

「大丈夫。私がシャットアウトしてる。聞かれてないよ…………たぶん…………」

 反射的に西沙せいさが応えていた。

 そして、次の萌江もえの声はやわらかい。

しずくさんは? かえでちゃんは大丈夫?」

 しかしその目は項垂うなだれる恵麻えま見据みすえたまま。

 そこにしずくの静かな声。

「問題ありません。私もかえでも時をさかのぼれる身……様々(さまざま)なことを見てきましたので…………」

 そのしずくの言葉にも、隣のかえでの表情は変わっていない。僅かな微笑みを浮かべながら静かに恵麻えまを見つめるだけ。

 母と娘、共に時をさかのぼれる能力者。しかも娘のかえでは過去に干渉かんしょうすることが出来た。そんな二人だからこそ、ここにいた。だからこそ、かえでは〝へびの会〟の中心にいた。普通の人生など送れるはずもない。そう判断し、自分たちの意思でここにいた。

「娘のかえでは強い子です。だからこそ……今、ここにいます。そうですよね……萌江もえさん」

 そう言いながら、小さく口角を上げたしずくの顔が萌江もえに向く。えて萌江もえに確認しながら、自分自身の中の何かを噛み締めた。

 顔を回した萌江もえは笑みで返すだけ。

 口を開いたのはその隣の咲恵さきえだった。

恵麻えまさん……質問を続けさせて頂いても?」

 あくまで冷静な口調。そうあろうと、咲恵さきえ自身がつとめていた。それが自分がすべきことであることを知っていた。


 ──……いざとなれば……萌江もえおさえられるのは私だけだ…………


 少し間を空けて、恵麻えまが応える。

 その言葉には覚悟かくごこもっていた。

「…………もちろんです……どうぞ……」

 その強さに咲恵さきえ声色こわいろを変えないまま返していく。

「その〝奉納品ほうのうひん〟は…………その理由までを、ご存知で?」

「いえ、残念ながら分かりません…………私たちも直接接触したことがないのです。仲介ちゅうかい役の〝六神通ろくじんつう〟ですら謎ばかりで…………」

「そこに────」

「行けることになりました…………私が直接行って参ります……」

 恵麻えまが顔を上げる。

 その恵麻えまに、軽い笑みを向けたのは萌江もえだった。

 そして口を開く。

「やっと可愛い顔を上げてくれた…………遥か昔から〝命を創り出せる謎の場所〟として存在した所なんでしょ? その〝カバネのやしろ〟って…………その存在が何なのか……清国会しんこくかいのトップの目で見てきて。頼んだよ」

「かしこまりました」

 恵麻えまの返事には、やはり強さがこもっていた。

 萌江もえはその言葉を噛み締めるように間を空けた。

 そして繋ぐ。

「私は今さらこれまでの清国会しんこくかいめる気はないよ。そんな無意味なことには必要性を感じないからね。だから恵麻えまが私たちの前で責任を感じる必要は無い。でも今の恵麻えまの感情までを無意味だとは言わない。それはこれからのあなたに必要な感情だ。そしてあなたの今の気持ちは伝わった…………今、必要なことはそれだけ…………でしょ? 咲恵さきえ

 突然話を振られた咲恵さきえが少しだけ驚いた表情を浮かべ、それでもすぐに返していた。

「そうね……だからここから必要になるのは萌江もえの未来を見れる力…………私の過去を見れる力やしずくさんの過去にさかのぼれる力は必要ない」

「でも…………」

 そう言葉を挟んだ萌江もえかえでに顔を向けながら続ける。

かえでちゃんの〝過去に干渉かんしょう出来る力〟は必要になる」

干渉かんしょう?」

 反射的に返した咲恵さきえの言葉は、その場の全員の疑問だった。

 空気が僅かに変わる中、それに萌江もえは淡々と応え始める。


「────〝牧田まきた絵留える〟……覚えてる?」


牧田まきた……絵留える…………あの時の…………」

 反射的に応えた咲恵さきえの声がちゅうを舞う。

 かつてスズが取りいた少女。

 その少女────牧田絵留まきたえるはカリスマ性を伴い、そして狂信きょうしん的な新興しんこう宗教を作り上げて萌江もえ咲恵さきえに接触しようとするが、結局その理由は分からないまま、絵留えるは信者に殺された。

 その絵留えるの最後の言葉を萌江もえは忘れていなかった。


 〝 京子きょうこに繋がる人間だからだ‼︎ 〟


 絵留えるは母親を殺した理由に対して、そう答えた。

 おなかの中の胎児たいじと共に殺した。

 萌江もえの中で、それはいまだバラバラのパーツのまま。

 その萌江もえの思考の中の言葉がつむがれていく。

「彼女には弟がいた。でも産まれる前に母と共に殺された…………彼女に操られた父親の手で…………彼女の母親を殺したことで胎児たいじも一緒に殺されたみたいだけど、何か引っかかってたんだ。本当にお母さんに繋がる血だとするなら絵留える自身を殺せばいいだけ……それから弟を殺せばいい……そもそも絵留えるを産む前の母親を殺せば済む…………スズになら簡単なはず。誰かを操ればいい……それなのに、なぜ?」

「まさか……そこに行き着くとはね…………」

 思わずこぼした咲恵さきえ瞳孔どうこうが震える。

 そして、続けた声も揺れた。

「何かを……見せるため?」

 それに応える萌江もえの声は、何かの確信を持つ。

「…………あの〝血筋〟の…………〝胎児たいじ〟が欲しかったのかもしれない…………」

「それを……〝カバネのやしろ〟に…………どうして……意味が分からないよ…………」

 咲恵さきえの声の震えが大きくなっていた。

 それを萌江もえがさらに刺激する。

「本当にお母さんに繋がる〝血〟なら……何か意味はあるね……」

「……確か最後に……〝京子きょうこさんに繋がる人間だから〟って…………」

「そして〝命を創り出せるカバネのやしろ〟の〝奉納品ほうのうひん〟…………」

「……萌江もえの……〝命を創り出せる力〟…………」

 そこに挟まるのは西沙せいさ

「……どういうことよ…………誰の〝血〟が欲しかったっていうのよ…………」

 僅かに震えるその言葉から生まれた静けさに、誰もが息を飲んだ。

 続くその西沙せいさの声が、全員の耳に突き刺さる。

絵留えるは……スズは…………誰かの〝いのち〟を欲しがった…………」

 静寂せいじゃくの中、誰もの頭の中で思考が流れ続けた。


 牧田絵留まきたえるは何者だったのか?

 その母親の靖子やすこは誰の〝血〟を継承けいしょうしていたのか?

 なぜ妊娠していた靖子やすこが殺されなければならなかったのか?

 絵留えるが欲しかったものが、もしも〝胎児たいじ〟だったとすれば、それは何のためか?


 その空気を崩したのは、再びの西沙せいさの声。

強引ごういん過ぎるよ…………胎児たいじが欲しかったなら…………他の胎児たいじだって────」

「……〝京子きょうこに繋がる人間〟……」

 そう、呟くような声。

 その声、萌江もえの言葉。

「私が欲しいポイントは…………その一点だけ…………」

 全員の視線を浴びながら、視線を落とした萌江もえが続けた。

「その人間の胎児たいじに…………スズは用があった…………私がスズからもらった〝力〟は……多分だけど、生きてなければ使えない。それを代用出来るのは……〝カバネのやしろ〟だけだ…………」

 その言葉を、全員が噛み締める。

 この先に何が待っているのか、萌江もえがどんな未来を見ているのか、誰にも見えない。

 西沙せいさですら、何の未来も見えずにいた。

 もどかしい。


 ──……どうして……どうして何も見えない…………

 ──…………萌江もえは…………何を見てる…………?


 西沙せいさがそう思った直後、そのざわつく気持ちをつつく声。

 咲恵さきえだった。

「……私は……あなたを信じると決めてる…………萌江もえの〝ちから〟の発覚はっかくが〝カバネのやしろ〟の存在を私たちに教えてくれた。そしてそこから萌江もえは〝牧田絵留まきたえる〟の存在に辿り着いた。なら……私はその意味の答えを見付けるだけ。私たちの世界が理屈りくつで語れないのはいつものことでしょ。ね? 西沙せいさちゃん」

 揺らぎのない咲恵さきえの表情が西沙せいさに向く。

 僅かに微笑ほほえんでいるかのようにも見えるその咲恵さきえの目が西沙せいさの気持ちをとらえ、それに返す自分の表情に西沙せいさは自信が持てないまま、それでも口を開いた。

「……忘れてなんかいない…………私も咲恵さきえと同じだ」

 その言葉で、西沙せいさは自分を鼓舞こぶするだけ。

 今欲しいものは他にはない。

 すると、そこに、その場に似つかわしくない声。

「三角関係はちょっと」

 顔を上げた萌江もえだった。その声が続く。

「それとも西沙せいさちゃんは若くなきゃダメかな?」

 おどけるような萌江もえに、西沙せいさは真剣な目付きで返した。

「この状況でふざけないでよ。かえでちゃんの前だよ」

「それもそうか」

 しかし当のかえでは笑顔で口を開いた。

「大丈夫ですよ。萌江もえさんのセクハラには慣れましたから」

 すかさず萌江もえ

としもとるはずよね。あのかえでちゃんが敬語覚えるくらいだもん」

「もう中学生ですので」

 かえでは中学生になったばかり。

 身長だけでなく態度にも成長が見られる年頃だった。とはいえ母親のしずくから見ても大人びて見えていたのは事実。

「ウチの教祖様も大きくなったねえ」

 そんなことを言う萌江もえとのやり取りにもかえでは慣れたもの。

「それって皮肉ですよね」

「そんな言葉も中学校で教わるの?」

 そして大きな咲恵さきえの溜息。

 それを咲恵さきえ自身の言葉がおぎなう。

「これからの流れとして、引き続き〝カバネのやしろ〟に関しては恵麻えまさんに調べてもらうとして…………私たちの役割は? 絵留えるの母親を調べる必要があるとは思うけど……どうせ萌江もえは最初からそのつもりだったんでしょ…………?」

 すると、さっきとは打って変わって声を落とした萌江もえが応えた。

恵麻えまから〝カバネのやしろ〟の話を聞いた時からなんとなく頭に浮かんでた……理由は分からないけど絵留えるが頭から離れない……それが今日確信に変わったよ。やっぱり、それぞれに繋がりがありそうだ…………」

 やはりその声は空気をも変える。

かえでちゃん、私たちの記憶を頼りに、行ける? 絵留えるの母親の牧田靖子まきたやすこを知りたい」

 その萌江もえの言葉に、かえでは僅かにあごを上げて応えた。

「いつでも」

 そして、その口角が上がる。



      ☆



 昭和五〇年。

 西暦一九七五年。

 昭和二〇年の敗戦を経験し、戦後からゆっくりと続いた高度経済成長にいて、後に安定成長期とも言われる頃の始まり。やがてバブル景気と呼ばれるものに発展していくが、その経済的繁栄が幻のものでしかなかったことが判明するのはまだ先。

 国際的に見て経済が発展することに並行して国民一人一人の生活も確かに豊かにはなっていた。それでもそれは統計上の数字でしか歴史の教科書には載らない。総ての国民が豊かな生活を謳歌おうか出来得できうることなど有りはしない。貧富ひんぷの差が社会の豊かさを生む。資本主義社会の現実。それに多くの国民が気が付くのは、みずからがその生活の質を落とさざるを得なくなった時。

 底辺の生活を強いられてきた人々は、いつの世にも存在する。

 そんな人々が社会の豊かさを支えてきたことに、ほとんどの人々は気が付かなかった。

 それが今以上に執拗しつように隠されていた時代でもある。


 そんな時代に、牧田靖子まきたやすこは産まれた。


 後にその父となる男性────牛抱うしだききよしも底辺で生きてきた。戦後すぐに産まれ、戦後の苦しみを直接味わったことは無く、物心が付いた頃はすでに戦後ではなかった。その苦しみを直接味わったのは両親だということはきよしも分かっている。

 それを理解出来たのは昭和三〇年代。

 とはいえ、牛抱うしだき家が常にまずしかったのは変わらなかった。両親共に定職に着いたことは無く、常に日雇いだったが、それでも屋根のある家と呼べる場所があった。戦時中に直接的な戦火の影響があった地域ではなかったが、そんな場所でも敗戦の影響は大きく、多くの人々が肩を寄せ合って生きていた。

 一つの所に長く暮らしたことはない。そんな子供の頃の経験からか、きよしは大人になってからも場所という物に愛着を持つことはなかった。

 きよしが中等学校の卒業と同時に地元の新聞社の印刷工場に就職した頃、両親が失踪しっそうする。

 ある夜、家に二人とも帰ってこなかった。

 警察に捜索願いは届け出たが、それ以来両親が帰ってくることはなかった。

 それから、両親との最後の夜の言葉が、きよしを苦しめる。


  〝 清国会しんこくかいには気を付けなさい 〟


 清国会しんこくかい────初めて聞く言葉だった。相談出来る友達もいない。新聞でも見たことはなかった。

 それでも地方紙とはいえ新聞社の完全子会社となる印刷工場。おそらくこの時代にいては多くの情報が集まる場所の一つだろう。

清国会しんこくかいって、聞いたことありませんか?」

 きよしが工場長に相談したのも自然な流れだった。

 印刷工場とはいっても地方紙。従業員が十数人の小さな会社。答えはやはりきよしの想像通りのものだった。

清国会しんこくかい? 聞いたことないな」

 工場長は戦後すぐから工場を任されて一〇年以上。新聞社の子会社とはいえ、所詮はただの印刷工場に過ぎなかった。こんな答えはきよしにも想像は出来ていたこと。しかしまだ幼かったきよしには他に頼るては無い。小さな〝点〟にすがるしかなかった。

「そうですか」

清国会しんこくかい……〝かい〟ってことは、暴力団とかじゃないだろうな」

「分かりません。ですが父が最後に〝清国会しんこくかいに気を付けろ〟って言ってました」

「そうか……まだ見付かってなかったんだったな……」

 思わずそう応えた工場長も、もちろんきよしの両親の話は知っている。それだけに無下むげにも出来なかった。

 だからこそ、すぐに続けていた。

「本社に問い合わせてみるよ。何か分かるかもしれないしな。少し待ってろ」

 それから数日、本社である新聞社からは何の情報も得られないまま。


 朝だった。

 工場長が開け放したままを嫌っていた入り口の扉。

 ステンレス製の、所々がほころび、さび着き、ゆがんだ古い扉。

 開け放たれたままだった。

 見知った従業員たちがせわしなく出入りする。

きよし君! 工場長が少し前に交通事故で────!」


  〝 清国会しんこくかいには気を付けなさい 〟


 その日は仕事もそこそこに、きよしたちのような若い従業員だけで定期ラインを回していった。大人たちは全員がいそがしく事務所を出入りする。

 そしてきよしがそこはかとない恐怖に気持ちを落ち着かせられずにいる内、まだ昼前にその男はやってきた。

「君が…………牛抱うしだき君だね?」

 小さな応接室に呼ばれたきよしにそう声を掛けたのは、三〇前後とおぼしき男。

 お茶を運んできた事務員の女性が退室すると、慣れた手付きで男はテーブルの上に名刺を滑らせた。その名刺を目で追いかけたきよしが顔を上げると、その男の目は決して笑ってはいなかった。工場長の交通事故の直後。当然には思えた。

「私は本社で……おもに事件を担当してる記者でね。今朝亡くなった工場長から依頼を受けてた」

「亡くなった⁉︎」

「少し前に電話があったよ…………ダメだったそうだ」

 そう応えて男は視線を下げた。

 名刺に書かれている名前は〝月乃つきの隆一りゅういち〟。


 ──……工場長がこの人に…………


「こんな時にすまないね。急をゆうすると思ったから…………〝清国会しんこくかい〟というものを調べて欲しいと工場長から頼まれていたんだが……君の依頼だったそうだね」

「はい……大人の人なら…………何か知ってる人がいるかと…………」


 ──……何か…………嫌だな…………


牛抱うしだき君は……何を知ってる?」

 そう言いながら月乃つきのの目付きが鋭くなっていったことに、きよしは背中の悪寒おかんを感じる。

「……ここに就職してすぐですから……もう半年ぐらいですが、実は両親が失踪したままで…………その両親が最後の夜に〝清国会しんこくかいには気を付けろ〟と…………」

清国会しんこくかいが何か────は……聞かなかったかい?」

「……いえ…………何も…………」


 ──……圧迫感…………これが新聞記者か…………


「そうか…………もう口にしないほうがいいみたいだ。私も最近、誰かにけられててね。そして朝の事故だ……現場を見てきたけど、車を置いて運転手はどこかに消えた。急ブレーキの跡も無い。しかも車は深夜に盗まれた盗難車だった」

「つまり…………」

「殺人の可能性があるってことだよ」

「まさか……どうして工場長が────」

「どうやら、清国会しんこくかいは危険な存在のようだ……私にも何かあるかもしれない。君も、もうその名前は口にしないほうがいい…………」


 そして、きよしは仕事を辞めた。

 初めて恐怖を感じた。

 その形になってきた緊張感が、両親の失踪と絡みつく。


 すぐに工業部品を作る小さな町工場に転職。

 その朝もいつもの電車に乗っていた。

 しかしその電車は大きな脱線事故を起こし、その事故は新聞の一面を飾る。きよしは怪我こそしたが骨折もないままにすぐに退院することが出来た。

 そしてきよしは再び転職し、住まいを移す。

 怖かった。

 同時に思い過ごしだとも思った。自分の命を狙うなら、もっと簡単なやり方があると思えたからだ。

 しかし例えそれが思い過ごしだとしても、同じ場所に長くいることに恐怖を感じる。そしてなぜ両親が転職と引っ越しを繰り返していたのかを理解した。

 結果的に長くても一所ひとところに三ヶ月。転職と転居を繰り返すことになる。





         「かなざくらの古屋敷」

    〜 第二五部「黒い点」第2話(完全版)へつづく 〜


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