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第十一部「粉雪」第4話(完全版)

 出生前しゅっしょうまえ診断の結果が出たのは妊娠四ヶ月くらいの頃。

 その結果は染色体の異常。ダウン症の疑いが濃厚というものだった。もちろん一〇〇%というものではないが、しかしその結果は出産を諦めたとしても誰にも責められるレベルのものではない。

 まだ胎児は小さい。

 しかし靖子やすこはその〝命〟を感じていた。

 自分のお腹の中に、自分ではない〝命〟がいる。

 そして繋がっているのは体だけではない。気持ちのどこか深いところでの繋がりを感じていた。

 靖子やすこにとっては二人目の妊娠。

 絵留えるは元気に育っている。

 きっとこの子も元気に育ってくれる。

 なぜかそう思えた。

 しかし太一たいちには、靖子やすこの感じているその気持ちが〝考え〟にしか思えない。そのまま、まるで取りかれたように〝現実の中〟に中絶の理由を求めていた。医者からの説明を聞いた上で、ダウン症の子供を育てていくことの難しさが肩にのしかかる。一般的には平均寿命も短い。産まれたからという理由だけで簡単に育てていけるものではない。

 お互いに、綺麗事だけで決断すべきでないことは理解していた。

 そして、何が正しいのかの答えが見付からない。

 診断の結果が出てからの家の中の空気は重かった。しかも暗い。考えないようになど出来るはずもないままに、意見が交わることはなかった。

 太一たいちも決して靖子やすこの意見を聞かなかったわけではない。何とか靖子やすこの気持ちを理解出来ないかと、積極的に言葉を聞いた。しかししだいに感情的になっていく靖子やすこの声は、いつも太一たいち苛立いらだたせる。いつの間にか、太一たいちも自分の意見を感情のままに押し付けるようになっていた。家に帰ることすら疲れる毎日に、ただただ神経をすり減らしていく。

 しかしそれは靖子やすこも同じだった。母親が父親の考えるそれとは別の次元で我が子と繋がっている感覚は、決して性別の壁を超えることはない。それでも例え無駄に思えてもそれを問いていくしかないジレンマに、毎日を積み重ねていく。

 やがて、意見のぶつけ合いに疲れた二人が辿り着いたのは、とある神社だった。

 もしかしたら、お互いにただ第三者の意見を聞きたかっただけなのかもしれない。太一たいちの何気ない提案に、靖子やすこもそれを受け入れた。

 心底、疲弊していたのだろう。

 辿り着いた神社、その広い参道を歩くだけで、不思議と心が安らいだ。

 理由は分からない。

 ただ、そこに来たことを間違ったこととは思えなかった。

 思いたくもなかった。

 お互いの感情をぶつけ合う度に離れた気持ちが、目の前の本殿が近付くのに合わせて少しだけ近付いていく。

 それでも、現実の重みが変わらないことはお互いに分かること。

 本殿の裏に通された。裏とは言っても祭壇のある広い板間。障子を通して傾きかけた陽の光が室内を照らすが、まるでそれは間接照明のように並んで座る二人の影を際立たせた。二人の気持ちは厚い座布団が心細いままに繋ぐだけ。

 やがて、板間からそのまま続く廊下の奥に、人影が一つ。

 白と朱色しゅいろ巫女みこ服。

 床を足袋たびはかま衣擦きぬずれの音だけが辺りに広がっていく。

 二人の前に正座する巫女みこのその立ち振る舞いの美しさに、太一たいち靖子やすこはしばし見惚みとれた。

 それは、まだ神社の代表になったばかりの、さきの姿だった。

 そしてそのさきは、節目がちに、ゆっくりと口を開き始める。

「お待たせ致しました…………当神社を任せられております…………御陵院ごりょういん……さきと申します」

 目の前で深々と頭を下げるさきに、慌てて二人も頭を下げた。

 体を戻してからも、慣れない場所からの緊張か、心中の〝けがれ〟に対する後ろめたさか、無意識に二人とも自然と視線は床へ。

 そして最初に口を開いたのは太一たいちだった。

「お忙しいところ……無理にお願いしまして…………」

「いえ、とんでもございません。急いだのはむしろこちらのほうです…………急を要すると判断させて頂きました」

「……そうですか…………それで、電話で話した通りなんですが…………もう、どうしたらいいのか悩んでいまして…………」

「結論から申し上げます」

 毅然きぜんとしたそのさきの声に、二人が同時に顔を上げる。

 それを待っていたかのように、さきが続けた

「……信じられるかどうかは分かりかねますが……このままお子さんを御出産されるのは…………おやめになられたほうがよろしいかと…………」

「────そんな…………」

 反射的だった。

 思わず、無意識にそう声を漏らしたのは靖子やすこ。その靖子やすこの唇が、小刻みに震え始めた。

 気持ちのどこかでは理解出来ていた。

 分かっていた。

 当然のことなのかもしれない。

 夫が間違ったことを言っていないのは、頭では理解していた。

 出来ていた。

 それでも、何か分からない何かにあらがい続けていた。

 靖子やすこにとって、すでに理解と決断は別のもの。同時に第三者に意見を求めたとて、それが何かを変えてくれるとは思っていなかった。

 それはきっと、自分の背中を押してくれるだけ。初めから分かっていたはずだった。

 そのためにここに足を運んだのかもしれない。

 今の靖子やすこに理解出来るのは、それだけだった。

 そう理解するしかなかった。

 その靖子やすこが再び顔を伏せた時、さきが続ける。

「念の為…………出生前診断の結果のお話ではありません。ここへいらしたのも偶然ではないはず。わざわざこんな遠くまで…………近くにも神社はいくつでもあるはずです。お子様は…………どうやら私に会いにいらしたようです…………」

「どういう……ことでしょうか…………?」

 その太一たいちの言葉に、さきは少し間を開けてから応えた。

「……お電話を頂いた時に分かりました…………因縁でしょう…………奥様のお腹の中のものと…………私は以前に会っています…………」

 二人に理解など出来得るはずもない。

 さきにだけ分かる〝あの時〟の感覚。説明など出来ない。もはやさきの中によみがえるのは、あの夜の恐怖とおそれ。


 ──……忘れるものか…………あの〝へび〟だけは…………


おっしゃっている意味が…………」

 そんな太一たいちの言葉が宙に浮く。

 さきは神社を継承けいしょうした重責じゅうせきを改めて感じながら、その重い口を開いた。

「無理もございません…………しかし奥様は……お子様を御出産されたいのですね…………」

 すると、うるんだ目を上げて靖子やすこが応えていく。

「もちろんです」

 再びそう応えながらも、もはや靖子やすこに本当の自分の気持ちなど、理解することすら難しい。


 ──……私は…………どうしたら…………


 その感情と共に、靖子やすこの目から一筋の涙が零れ落ちていた。

 その感情の波を前に、さきはあっさりと即答した。

「お子様は…………五体満足で御産まれになるでしょう」


 ──…………え?


 もはや声すら出てはこない。小さく口を開いたまま、靖子やすこの中で思考すらも止まった。

 呆然とする靖子やすこ他所よそに、太一たいちが返していく。

「さっき産まないほうがいいって────」

 しかしさきは遮る。

「──お子様に産まれてほしくない〝ちから〟がいるのです」

「ちから…………?」

 太一たいちに理解出来るはずがないと思いながらも、そう説明するしかないみずからの弱さをさきは感じていた。そして、それは止めることも許されない。


 ──……後ろにいるのは……誰だ…………


「…………私には、その〝ちから〟を持ったものが見えません……もう一人…………娘さんがいらっしゃるとのことでしたが…………」

「はい…………七歳になります…………」

「…………そうですか……」


 ──……娘…………娘…………


 おざなりな返答のまま言葉を詰まらせるさきに、太一たいちが腰を僅かに浮かせて声を荒げた。

「何ですか⁉︎ 娘がどうしたっていうんです⁉︎」

「娘さんは…………」

 小さくそう言ったさき太一たいちを見上げると、その目を見ながら続ける。

「────かんするどいお子さんではありませんか?」

「それは…………はい…………そうですが…………」

 太一たいちは浮かせていた腰を落とすと、目を伏せた。

 そしてさきが返す。

「近い内に、娘さんを連れて来て頂けないでしょうか? 祈祷料きとうりょうは今回もその時も頂かなくて結構…………これは私の問題でもあります…………」

「しかし…………」

「今日は奥様のお腹の中の命を守るべきです……そのための祈祷きとうをしなければ…………〝あのもの〟には勝てません…………」

 さきが見ていたものとは、以前に京子きょうこ対峙たいじしていた〝へび〟に他ならない。

 その相手が目の前にいる。

 さきの神経が高ぶっていた。

 

 ──……〝あのへび〟を、払わなければ…………

 ──…………そこにいるのは…………誰だ…………


 さきがこれからすべきことはそれだけ。

 御陵院ごりょういん神社をものとして、決してないがしろにすることは出来ない。



      ☆



「…………どうするの?」

 萌江もえの目の前にボトルセットの新しい氷を出しながら、咲恵さきえは不安気に続けた。

「……宗教団体ってこと…………分かってたの?」

 杏奈あんなが帰った後、萌江もえは受け取った資料に目を配り続けていた。ボトルの減っていくスピードがいつもより早い。


 ──……よくない時の飲み方だ…………


 咲恵さきえが何度か見たことのある、萌江もえの悪い飲み方。

 長い付き合い。しかしもちろんその関係は時間だけではない。その深みから分かる萌江もえの感情が、痛いほどに咲恵さきえには伝わっていた。

 その萌江もえは、ブランデーを喉に流し込むのとは別に、あくまでゆっくりと応えていく。

「…………そこまでは分からなかったなあ……正直、驚いたよ…………」

 その言葉がどれだけ真実のものか、咲恵さきえが受け取ることの出来る情報は少ない。

 萌江もえはグラスのブランデーを飲み干すと、瞳を揺らす咲恵さきえと目を合わせた。適当にその場限りの応え方をしてはいけないのは分かっていた。新興宗教の代表の家に産まれ、人生を翻弄ほんろうされた経験を持つ咲恵さきえに、今さらの中途半端な言葉はむしろ失礼だとも感じた。

「ねえ……咲恵さきえ…………」

 萌江もえは、ゆっくりと言葉を選ぶように続ける。

「……ごめんね……巻き込んじゃった…………でも、今回は私だけでやらせて」

「今回はって……別に誰かからの依頼じゃないし、ちょっかい出してきただけのそんな子供なんか────」

 咲恵さきえが手元に置いたグラスの音が激しく空気を揺らす。

 その音も含めて、萌江もえが遮った。

「それだけじゃないことは気付いてるでしょ…………お母さんに関係のあることだから……無視は出来ないよ…………だから、今回は私だけで────」

 それを今度は咲恵さきえが遮る。

なおのこと一人なんかダメだよ────私の中にだって…………」

 言葉を詰まらせた咲恵さきえを、萌江もえすくい上げた。

「…………咲恵さきえは…………いざとなったらさ…………命を懸けても私を守る気なんでしょ?」

 それを聞いた咲恵さきえが、目を細める。


 ──……当然だ……私は……萌江もえを…………


 そう思った咲恵さきえの複雑な心情を意識してか、萌江もえが言葉を繋いだ。

「私を守りたいのは…………咲恵さきえ? それとも……………………〝京子きょうこ〟?」

 咲恵さきえが、今度は目を見開く。

 そしてその目を伏せた。

 自分の中に〝京子きょうこ〟がいる。萌江もえの母親がいる。それは少し前から分かっていたこと。自覚もある。しかし、京子きょうこの存在が無かったら今の時間が存在するのか────それは咲恵さきえも自問自答を繰り返していたことだ。もしも今までの萌江もえとの時間が〝京子きょうこ〟の存在ありきのものだったとしたなら、自分が自分の気持ちだと思っていたものは、本当に自分のものなのか────その答えを知ることが、咲恵さきえは怖かった。

 その咲恵さきえが言葉を返せないままに、時間だけが過ぎていく。


 ──……私は…………誰…………?


 やがて、口を開いたのは萌江もえだった。

「…………嫌だね……こんなの…………ごめん…………」

「……やめてよ…………」


 ──……どう応えればいい……どう言えば…………


 そう思う咲恵さきえの消え入るような声を聞きながら、萌江もえは資料のたばを自分のサッチェルバッグにしまうと、そのままバッグを持ち上げ、同時に椅子から腰を浮かせる。

 萌江もえのハイカットのスニーカーが、床で優しい音を立てた。

 決して響くような音ではない。

 それなのに、咲恵さきえの耳にはそれが大きく届く。

 萌江もえは数歩だけ歩き、視界から咲恵さきえが消えたところで再び口を開いた。

「…………まだ…………ボトルは……残しておいてよね…………」

 その夜は、なぜかドアの鈴の音が小さい。

 そして、まだ咲恵さきえは顔を上げることが出来なかった。



      ☆



靖子やすこと胎児を殺せ」


 まだ小学生の娘である絵留えるにそう言われるがまま、どうして太一たいちがそんな行動をとったのか、それは太一たいち自身にも理解の出来ることではなかった。

 しかし、気が付いた時、辺りには血があふれていた。

 血塗ちまみれの靖子やすこに馬乗りになり、横には首を切り落とされた血だらけの胎児の形をしたもの。

 太一たいちにはそれが〝命〟には見えなかった。

 目の前の光景に、太一たいちが抱いたものは恐怖ではない。

 あるものは、総てから解放された安堵感あんどかん

 何もかもが終わりを告げたかのようだった。

 その背後から、小さく床がきしむ音が聞こえる。

 太一たいちはゆっくりと振り返った。

 そこにいるのは無表情なままの絵留える

 太一たいちには、何の感情も浮かばなかった。

 家に帰ってきて、絵留えるの目を見てからの記憶があやふやだった。そして太一たいちは、絵留えるの言う通りに実行した。

 ただ、それだけ。

 そうしなければいけない、と、そう思った。

 そして、何も後悔こうかいはしていない。

 解放感だけが残っていた。

 総てが終わった。

 やがて、絵留えるの表情が動く。

 口角が上がった。

「よくやった…………お前は〝私のために〟…………〝京子きょうこを殺した〟」


 ──…………京子きょうこ……?


 もちろん太一たいちには意味など理解出来るはずがない。

 さらに絵留えるが続ける。

「警察には自分で電話をしろ────お前はもう必要がない」

 太一たいちが立ち上がると、全身が重かった。体の至る所から血がこぼれ落ちる。

 その時、一瞬だけ、太一たいちの中にうずいたものがあった。

 しかし、太一たいちがそれが何かを知ることは、その先もないまま。

 やがてやってきた警察に、太一たいちは逮捕され、絵留えるおびえた表情で自分の部屋にいるところを保護された。

 時が過ぎ、留置場の中で少しずつ太一たいちは自我を取り戻していた。

 しかし、毎晩夢の中に現れる絵留えるの姿に恐怖し、ノイローゼ気味になっていく。

 娘であるはずの絵留えるを恐れる日々が続いた。

 親族の誰も面会に来ることはなかった。事件の直後に太一たいちは親族から縁を切られていたからだ。元々良くは思われなかった結婚。しかも妻を殺した殺人者となれば、当然と言えば当然だった。

 会話を許されない刑務所の中で、恐怖に震えながら時間だけが過ぎていく。

 夜が怖い。

 眠りにつくのが怖かった。

 眠れない日々に、しだいに睡眠時間も減っていく。

 日々()せ細っていく姿に刑務官が不信感を抱き、医者の診察を受けたことで、処方された睡眠薬を就寝前に飲まされるようになると、結果としてそれが精神をさらに追い詰めていく。

 絵留えるが行方不明になったことを聞かされた時、すでに太一たいちの中で何かが壊れ掛けていた。

 絵留えるが自分の前にやってくるかもしれない恐怖。

 あの〝目〟を見るのが怖かった。

 あの時の解放感が、懐かしくさえ感じる。

 終わらせたかった。

 〝解放〟されたかった。

 就寝時間前。

 いつものように刑務官に睡眠薬を飲まされた太一たいちは、遠くなった足音を耳に、暗闇の中で布団から起き上がる。

 何の迷いもなかった。

 ただ、自分の総ての力を使って、目の前の壁に額を打ち付けるだけ。

 迷いの無くなった人間の力は強い。

 まるでそれは、靖子やすこを殺した時のように、何の抵抗感も無かった。



      ☆



 教会の場所は、杏奈あんなからの資料の住所で分かった。

 それでも初めての地。

 公安の目があるとすれば、下手に駅からタクシーを使うことも出来ない。

 萌江もえは慣れない道をひたすらに歩いた。気温はこの季節にしては暖かいほどだ。寒くて冷え切った空気よりは歩く分にはありがたい。

 街中を抜け、しだいに周囲の建物が少なくなっていく。

 最後だろうと思われたコンビニで飲み物を買って、それからは先を急いだ。

 辿り着いた先で何が起こるのかなど分からない。しかし、萌江もえは出来るだけ自分の痕跡こんせきは残せないと感じていた。そうでなければタクシーを利用しただろう。今回はなぜか明確な未来が見えなかった。

 誰かに邪魔をされているのか、咲恵さきえがいないからか────それは萌江もえにも分からなかったが、嫌な感覚が一歩ずつ膨れ上がってくるのは事実。

 それでも私的してきな問題だ。

 宗教団体だからということもあったが、今回はやはり咲恵さきえを巻き込みたくなかった。そのくらいに危険な匂いだけが鼻をつく。

 しかも、何より怖いのは未来が見えないこと。

 やはり、いつもとは何かが違う。

 そして資料を見る限り、どう考えても牧田絵留まきたえると〝京子きょうこ〟に関わりがあるようには見えなかった。ならばなぜあの時〝京子きょうこの姿〟を見せられたのか────そして、どうして絵留えるは自分に会いたがっているのか。


 ──……直接、聞くしかないね…………


 その気持ちだけが、萌江もえの足を動かしていた。

 持ち物は財布とスマートフォンだけ。

 やがて片手に持ったペットボトルですら重く感じられた時、その教会は目の前に姿を表した。

 手入れのされた印象ではなかった。もしかしたらかつては美しい印象を与えていたのかもしれない。しかし今は周囲の雑草さえそのまま。周りの空間から教会の建物を覆い隠すような林の木々も背が高い。

 まるでそれまでの道のりとは別世界のようなその雰囲気に、萌江もえは小さく息を吐く。


 ──……どうやら……もう気が付いてるみたいだ…………


杏奈あんなちゃんじゃないけど……嫌だね…………宗教ってさ…………」

 そして道路に面した門に手をかけた。

 びついた甲高い音が、周囲に木霊こだまする。





           「かなざくらの古屋敷」

      〜 第十一部「粉雪」第5話(完全版)

               (第十一部最終話)へつづく 〜


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