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ハウス
「ああ、あいつは若いけどうわついたところがなくて、おれのほうが世話になってる感じかな。 移動の時期がだいたい同じだったけど、家の中が先に片付いたのはロビーで、おれの家の片付けを手伝ってくれたよ」
右がおれの家で左がロビーのだ、と説明したときに後からついたロビーの車からバートたちがおり、ケンがザックの足をひっかけて雪に転がし、荷物をほうりだし、じゃれあいがはじまった。
バートがそれをゆびさし、ウィルをみた。
「その《二匹》をつれて、おまえはむこうだ」
「え!?なんでだよ!」
「理由をききたいか?」
「・・・いいよ、やめておく」
なんとなくこの男が口にする『理由』の予想がついた男は前髪をはらいながら、口笛をたかくふき、『二匹』をよびよせると、左の家のドアを開けているロビーをゆびさし、『ハウス』はあっちだ、と教えた。