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『狼男』が逃げ出した


「でも、 ―― 」

 と言葉をひきとるように、ケンが立ち上がった。

「 ――あんたは、その親子がそろって幻覚をみてるか、妄言吐いてる、なんて、ほんとは思ってねえんだろ?」

 ちかよってボードに貼られた教会の写真を見る。

 

 

 ライアンはこたえるかわりに、ロビーとアニーのことをみた。


「・・・二人にも、いつか、このことを話さないと、って思ってたが、テリー抜きでおれらだけで会う機会をつくらずにいたら、あの、遠吠えのことがあって、・・・次の日に、この鹿の死骸写真をテリーにみせたとき、彼が震える声でおれに言った」




     おれのせいで、『狼男』が、にげだしたんだ




「にげた!?」


 床からたちあがったザックにライアンはしかたなさそうにうなずく。



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