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行方不明者リスト
ライアンはあきらめたようにうなずく。
「彼女も、教会には『狼男』がいて、テリーはそれに薬をのませていると証言した。 おれがいったとき『狼男』がいなかったのは、テリーがおれに相談したことを知ったサマンサが『狼男』を隠すようタタに指示したからで、ふつうの人間が『狼男』をみてしまうと、《呪い》がかかるんだと脅された。 だから、 ―― それからおれは、『狼男』のはなしはサマンサとはしていない。 テリーには、・・・ときどきその話をふってみて、実在するのかわからないが、とじこめられた男の安否を確認しつづけた。 テリーが七歳のときぐらいに行方不明になった男かもしれないと思って、州の行方不明者リストをテリーに渡したこともある」
「どうだった?」
たいして期待もしていないようにまた、ジャンがきく。
「写真をさきにみて、どの男でもないってつきかえされた。そのうえ、『狼男』は六十は過ぎてる見た目をしていて、テリーがはじめて会ったときから、ずっとかわらないってつけたした」