閉じ込める役目
へえ、とうれしそうにウィルが前髪をはらった。
「いちおう、《教会》ってことになるなら、 ―― 『くわしい人』に確認してみたら?」
「ベインか? でも、電話はここだってつながらないだろ?」
手前の駅からつながらないんだぜ、とジャンが窓の外をみる。
雪はまだ、降っているようだった。
「で?そのあとは、どうなったんだよ?」
ザックが『おはなし』のつづきをさいそくするこどものようにせかした。
気をとりなおしたように、ライアンはすこし緊張をとく。
「 テリーにかつがれたのかと思う方が自然だった。 タタは、『テリーはここで、ダゲッドム族に伝わる薬の研究をしてる』っていって、彼のことをすごくほめた。おれが、彼がなにか悩んでいないか、ってきいたら、なにか相談されたのか、って聞き返されたんで、首をふって帰ってきた。 次の日にテリーのところにいったら、彼はおれにつかみかかってきて、なぜ教会にいったんだって、せめた。『病人を監禁してるならいまのうちに解放して、タタにもサマンサにも自首をすすめろ』って言ったら、テリーは歯をくいしばって、『あれはほんとうに《狼男》で、おれたちはあいつを閉じ込める役目なんだ』っていいかえした」