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教会の地下
どうだったんだ?とジャンにきかれ、当然のように「いなかった」とライアンが答えるのに、息をついたロビーが椅子にすわる。
「 教会は、前にサマンサが連れて行ってくれたことがあるんで、おれはあそこにすんでるタタっていうじいさんとは顔見知りだった。 じいさんはパレレ族だって言ってた。むかしから、ほかの先住民族の争いごとがあると、審判みたいなことをする役目の民族らしい。 そのタタが、いきなり訪れたおれが『捜索指令が出て、人をさがしてる』って言っただけで、すぐに別の男にランプを用意させてきて、教会の地下にいっしょにおりて案内してくれた」
《教会の地下》?とザックがいやそうな声で復唱し、つまり保安官がくるのがわかってたんだね、とルイがのんびり指摘した。