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テリーは知っている
「山に行くんですか?」
驚いたロビーの声に、じゃなきゃ『助け』にならないよ、とアニーがあきれた目をむけ、ライアンをみてきいた。
「テリーは?この話し合いによばなくていいの?」
「あいつは、 ―― 山にはいるときに合流すればいい、の一点張りだ」
困ったように息をつくと、説明をもとめるようなルイの目とあう。
「 ―― その、テリーは、これを、・・・『動物でも人間でもないもの』の仕業だと考えてて、その説を曲げる気はない男なんだ。 いや、いいやつなんだが、ちょっとその、偏屈ってやつで・・・」
保安官としては、この説にわらいとからかいを待ち構えていたのに、《警備官》たちの顔からは笑みがきえ、おたがい目を交わしあっている。
そうか、と先ほどまでと違う楽しそうなわらいをうかべたケンが、座っている床からボードの写真をゆびさした。
「 その男は、この《食い散らかし事件》の《犯人》を、『知ってる』っていってるんだな?」
ライアンはすぐに言葉をかえせなかった。