保安官の車
アニーの車にはすでに、バートとケン、ザックとウィルがのりこんでいた。
クラクションをならしてさっさと発車する。
みおくって保安官の車にジャンとルイといっしょにのりこむ。
「 なにか気づいたり、腹がたったらすぐに口にだして言ってください。こんな連中なんで遠慮もいらないですし、いわれないと気づかないようなやつらばっかりなんで」
エンジンを温める間、ジャンがとなりのせきでまた自分用にコーヒーをついだ紙カップをもちあげてみせた。
後部座席のルイがわらいながら、レオンとは奥さんつながりですか?とのんびりした口調でいやなところをついてくる。
「 そうだけど、―― それ以前に保安官どうしでつながってたんで、相談してみたんだ」
「レオンよりずいぶん年下ですよね?」
「そんなことないさ。おれももうすぐ四十だし」
「ああ、じゃあ、階級はレオンとおなじってことですか?」
「ひとつ下だよ。きみたちって、班長とかいがいで階級ないのかい?」
ようやく温風をいれて発車する。
「うちは、トップがあれなんで、あとはこのジャンがどうにかまとめて班になってる」
ルイの言葉にジャンがカップをかかげてみせた。