54/260
『地域独特』
にやりとわらいかえした相手が、了承のように背中をたたいてはなれる。
よく考えたら、この若い男たちは、『手伝い』に来てくれているのだ。
担当保安官である自分が、この若者たちをうまくつかってやらないとならない立場だ。
あらためて、《警備官》たちをみまわし、さいごにルイをみた。
「きみがいてよかったよ。 この『地域独特』のことも、はなしやすい」
「なるほど。じゃあ、―― あのあたりは、昔と変わってないってことかな?」
ルイが腕をくんでうなずいたところで、窓の外、こちらにむかってくる車がみえた。
「もう一台迎えが来た。ザック安心してくれ。徒歩じゃなくて、車二台でうちの監視所まで移動する」
「了解です」
元気に返答した若者が、わざとらしく保安官の敬礼をするのにも笑う余裕があるのに気づき、どうにかやれそうだと思えてきた。