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握手と情報
「いや、ちがうね。レオンに紹介されたおれたちが、《警備官》で、しかもあのA班だってきいてから、眠れなかったんじゃないの?」
おれが、あのウィル・デ・サウスだよ、とわざとらしい自己紹介で貴族様は握手した。
ライアンはなにか言おうとしたが、けっきょくもごもごとしたあいさつをしただけだった。
「ウィルさあ、なんか意地が悪くねえ?おれ、ザック、よろしく」
「おれはいま、手がいてえから、握手はパス」
「あいつケン、気にしなくていいから」
このザックという若者だけ、普通そうだと安心したライアンは、とりあえず寒いので駅舎にはいりましょう、と提案してみた。
大きな荷物と、ライフル用のケースをいっしょにかついだ男たちは、おとなしく従う。
ライアンはそのとき、名前と顔を一致させ、レオンから得ていた情報を照らし合わせていた。