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はじめておめにかかる
この返事に、マッチを擦った男が声をあげてわらった。
「いや、気にいった。 ―― どうだ?おれたちと組むか?」
マッチを下に捨てる。
「組むことはない。おれたちは、保安官要請ででてる《警備官》だ」
すると、むこうでかたまるスーフ族のなかまたちが、いっせいにわらった。
「《保安官》でもなく、《警備官》だと?」
「はじめておめにかかったぜ」
かたまった男たちがにやにやしながら、みてくるのに、ジャンもおもしろそうに笑いかえした。
「 ―― ああ、おれたちは保安官から仕事で頼まれてるんだ。だから、もし、その頼まれた内容があんたたちとかぶってるようなら、おれたちはそのことを、警察機構でもある保安官に、『報告』しなきゃならないってことだ」
「そうだよ。もし、おなじ仕事を受けてるなら、ぼくたち必要じゃないよなあ?」
このまままた列車にのって引き返せる、とウィルが前髪をはらう。
「あ、そしたらおれ、ワインだけさがしてくる」
ルイが腕時計をみながら、でも今日中には帰れないか、とバートをみた。