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ファイル№05 ― 終着駅
ファイル№05 ― 終着駅 ―
トンネルに入る前から、ちらほらと雪はふっていたし、はじめてみたマーノック湖の北側の木々には、うっすらと雪がつもったあとがあった。
だが、トンネルから出たそこは、冬の真っただ中だった。
「うっわ・・・さっむ」
とたんにまた気温がさがったような気がして、ザックはジャケットの前をしめる。
そろそろ終点につくぞ、とジャンが立ち上がってみんなに荷物を用意するよう告げていると、だれかの携帯電話が着信をつげはじめた。
「あれ?こっちのほうが雪がひどいのに、携帯つながるのか」
窓の外をみながらザックが驚くのに、んなわけねえだろ、とケンがルイをゆびさす。
つながらないはずの携帯電話をとりだした男は、眉をすこしひそめてから、「どうしたんだよ?」といいながら器械を耳にあてた。