偏見とため息
レオンは仕事に対して冷静だが、中身は熱い人間だ。
こちらからの二度目の報告をうけとったときには、すぐにブルーナに相談して、応援をおくると、約束してくれた。
きっと、クロイス州の《保安官》が派遣されてくると考えていたので、電話で《警備官》たちが行く、ときいたときは、ききかえしてしまった。
「 ―― なんで?」
『なんで?それは、ブルーナと相談した結果だ。うちの連中は、たしかに優秀だし、おまえ
が頼りたいのもわかるが、山で《狩り》をするなら、あいつらのほうが適任だ』
あいつら?どうやらレオンはその警備官たちと親しいようだ。
「 なあ、レオン、おれは、その送られてくるやつらと仕事しなくちゃならないんだが・・・」
『頼りになる。おれが保証するし、―― 偏見をはらうのに、いい機会だ』
『偏見』をもっているつもりはなかったので言い返したかったが、妻が何度もみせてきた、『パーティーでウィル・デ・サウスと撮ってもらったの』という写真に写る男の気取った様子にいろいろ文句をつけたのを思い出し、黙ることにした。
その、警備官たちが、そろって今日、くるのだ。
カップにコーヒーを注ぎながら、何度目になるかわからないため息をおとした。