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来るのは《警備官 A班》
その彼に、こんどのことを相談したら、なんだか《警備官》を送る、と言われてしまったのだ。
しかも、妻が大好きだったゴシップ誌に何度か登場もしている、『あの』、A班だという。
実業家の息子、現役貴族、元軍人、元少年兵・・・、いや、少年兵のことは、ゴシップ誌で扱うべきではないとライアンは思っているので、いちばんひっかかっているのは、貴族のウィル・デ・サウスかもしれない。
妻の口から、何度もでていた名前だからだ。
はあー、と自分のついたため息が耳にとどく。
時計を確認して、電話横のメモに目をおとす。
家では端末はつかえない。ライセット州の警察本部は遠いので、つかいたいときは、アニーとメリッサの家にゆく。家は高台にあり、そのうえ自分たちで作ってたてた通信塔をもっているのだ。
現場の写真はそこから送ったが、レオンとはなすのは、さすがに家の電話にした。
みつけた動物の死骸たちがどうみてもおかしくて、アニーとメリッサがそばにいたら、こっちまで興奮して声高になりそうだったからだ。