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ファイル№04 ― ライアン
ファイル№04 ― ライアン ―
ライアン・エバーソンはその日、朝からすこし憂鬱だった。
この、ライセット州のステラの森を担当することになったとき、もうこれで、必要以上の人たちにあうこともなくなると、心の底から喜んだのだ。
もとは、クロイス州の保安官で、マーノック湖の北がわから、東にかけての森を担当していたのだが、ある日からそのあたりは保護区ではなくなり、別荘地として国が森を切り売りしはじめた。
ライアンはそのままバーノルドの森に移動する予定だったのだが、ちょうど離婚が成立する時期だったので、ライセット州への転属を希望したのだ。
なぜなら、しばらく人に会いたくなかったからだ。