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「それなら、なんでスーフ族は、ライフルを持ってこの列車にのってるんだろうね」

 ウィルが自分のとなりにすわるケンに顔をよせてきく。


「おれ、きいてこよっか?」

「ザック。いい子だから座ってろ」

 となりのルイが、こどもをさとすようにほほえむ。


 目をあけたケンはいつものにやけ顔をしていない。

 ルイがいつものおだやかさで、「どうした?」ときいてやる。


 ようやく、しかたなさそうにポケットから左手をだし、みんなにむけた。


  「 ―― さっきから、いてえ」

 

 それは、まえに『魔法使い』に試された傷だ。

 手のひらに《白いカラス》の羽であけられた《穴》は、ケンが警備官になってはじめて、《失神させる》という事態を引き起こしたもので、いまだにその傷跡は残っているのだが、あのとき直径三センチをこえたはずの穴は、うそのように小さく浅いもになっていたはずだ。



 それがまた、大きく深いものへとなっている。



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