仕事で来ている
バートの座席横に立ったジャンが、窓のむこうをみやりため息をついた。
「 ―― どうする?無線をかりてレオンと連絡をとるか?電話線がどこかで切れたらしくて、駅員室のもつかえないらしい」駅員も、無線で保安官と連絡をとってるみたいだった、と駅舎のほうをさす。
腕を組んで窓の外をながめた班長は、必要ねえだろ、とかえした。
「 いまさら確認とって、おれたちのほかにも仕事をうけたやつらがいるのがわかったところで、引き返すわけにもいかねえだろ?」
「たしかに」
納得したか、あきらめたのか、副班長もすわった。
これは、警察機構からの『要請』として受けて、仕事として警備官はきているのだ。
「 でも、ケンたちに声をかけたあっちは、《役所仕事》できてるんじゃないだろう?」
通路をはさんだ席でウィルが前髪をはらう。
「ライセット州の公的機関で『狼』の駆除を頼んでるところは、どこにもなかったけどなあ」
ルイがここに来る前に念のためしらべたことを思い出す。
「そのほかの動物も、いまのところ駆除にのりだす数じゃないみたいだし、ほかにステラの森とフォロッコの山での狩猟に関してはなにも出てこなかったな。 あの辺は住民以外の狩猟も認められてない区域だし」