新人
叫び声に、食堂にいる社員みんなが一斉にザックたちを注目する。
かるく手をはらってその視線をちらしたショーンは、なんでどうして、とこたえをせまるザックも、片手ではらった。
「なんであんたがこんなものを? ―― まさか、ライセット州でなにかあったのか?」
ジャンはあの雪山をおもいだす。
「うちの新人だ」
「ええっ!!」
ザックはのけぞった。
「彼がスーフ族の?」
いい顔をしてるじゃないか、とニコルはその、どうみてもカメラを威嚇するように睨む表情をゆびさした。
「・・・そういうことか・・・」
ジャンはわらいながらその写真を指先でたたいた。
ライアンがいっていたエボフの《頼み》とは、息子を警備会社にいれたいというものだったのだろう。
それをうけたバートは、そのままそれを、社長であるヒュー・テレスにでも丸投げしたと想像できる。
J班ではこのまえ、最年長のカールが抜け、『カールを墓場に見送る会』と題された貸し切りの店には、大勢の人たちがあつまり、アルコールもまわった最後のほうで、ふだんは悪口しかかけないエディがカールを讃えだし、それに泣きだしたカールが感謝のことばのあとに、みんなの前でケンを抱きしめて『おまえはよくやってる』と大泣きしだしたのに、そこにいたほとんどの者がつられて泣き、ほんとうに誰かを墓に見送ったような会になってしまった記憶は新しい。