ステラの森は
こたえられないジャンの肩をたたいた保安官は、ステラの森は狼が守っているらしい、とひとりごとのように言った。
「 ―― むかしから、狼たちが守ってきたって、サミーからきいて納得した。・・・ロビーはステラの森でキャンプをするって言ってたが、実際にしてるのも、キャンプの写真もみたことがなかった。彼は《守られた森》には入れなかったんだろうってサミーも言っていた。監視所に来てすぐに、《魂》をのっとられたんじゃないかって」
「そういうの『信じない派』じゃなかったのか?」
「サミーと酒をくみかわして『ともだち』になったおれにまだ言うのか?」
「アマンダは、 ―― あの教会に?」
「中庭があるんだ。きれいな花が咲く庭が。 アマンダと数人の先住民たちが埋葬されてる。亡くなった時にサマンサにも墓参りにきてくれと言ったそうだが、遺体を返せといわれてそれっきりになったらしい」
「すっかり『ともだち』だな。全部『狼男』のいうことを信じるのか?」
「おまえだってわかってるだろう?」
「まあ、そりゃあ、 ―― 」
あのとき、倒れている『狼男』によってのぞきこんだルイは、『死んだふりしてるんだ』とウインクされ、協力してほしいと頼まれたという。
「 ―― ほんとはロビーにもけがをさせたくない、なんてルイにも言ってたらしいけど、あの結果はしかたないっておれも思うよ」
「ルイは、平気なのか?」
「冬山で厚手の上着だったからな。浅くてすんだ」
むこうの窓際で、ザックとケンに背中をたたかれている男をめでさす。