ファイル№41 ― おかえりニコル
ファイル№41 ―― おかえりニコル ――
休暇からもどったニコルが、ロッカーに使ったままのシャベルが突っ込まれていたほかは机もあらされたあともなく、教えた通り雪山でみんなに菓子をくばったはなしをきくと、太い腕でケンをつかまえて喜びいっぱいに頭をなでてほめたたえた。
ケンが腕力ではあまりニコルに抵抗しないのはいつものことで、それをみんなで見守り、我慢できずに逃れたケンが、飯食ってくる、と飛び出していったのを機に、班室に残った内勤組のジャンとザックで、昼食を食堂でとりながら、レオンから依頼されたほんとうのところをニコルに説明することになった。
テーブルにいっしょについたジャンから《正体不明の獣を狩るのが目的だった》ときくと、そんなことだろうと思っていた、と丸い目をまわした男は口をまげたが、みんなの気遣いに感謝し、レオンにも土産物をわたさないと、と食堂の真ん中のテーブルにみんながつまめるように置いたチョコ菓子の箱をひとつ取り返し、保安官用にしまいこんだ。
レオンがくれた資料をみせたあとに、ザックは今回撮ってきた写真もみせた。
「こっちが行きの列車の中。ケンがつまらなさそうだろ?」
「二人でおそろいのジャケットか。これはなんだ?どこかの家の地下室か?」
ニコルがとりあげた写真には、床にある、古く重い扉をもちあげるザックと、開けたその下の階段をおりてゆく、ルイとウィルが写っている。