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ファイル№40 ― 契約相手
申し訳ございません。契約相手については、お時間あるときに、『魔女は 』からひろい読みしてみてください。。。
ファイル№40 ― 契約相手 ―
席を立とうとして、椅子がうごかないことにきづく。
また腰の銃をさがそうとしてまわした右手を、その女がわらったのがわかる。
「どうぞ、気になさらないで。 わたくしにあった人間の男性は、たいていその道具をむけようとしますの。 あと、カメラとか」
黒く長い髪に白い肌の女は、どこかの民族衣装のような服と装飾品を身に着け、真っ赤な唇を横にひろげて微笑んだ。
「ひさしぶりだな、ワクナ。この件もきみが?」
ジョーは女に微笑みかけ、砂糖をいれるかと、その銀の壺をつまみあげた。
いただきますわ、とこたえた女が幾重にもかさなる細い腕輪を鳴らしながら右手を払うようにすると、その手の先に羽ペンが現れる。
「 むかしはこのペンで、血をつかった《署名》を、なんてやっていましたが、いまはそういう方法は面倒なので、おもに声での《認証》にしておりますの」
いいながら、ペンをもった手でテーブルになにかを書き始める。