みんなに勧められたので
はいった正面に大きなステンドグラスがあり、それを通ったひかりが美しくてみとれた。
聖堂教の教会でみるような、神話や遣い人をえがいているのではなく、星や雲、月や山がある、夜の風景のようだ。
「そのとがっているのが、アペレ山らしい」
いきなり説明され、横をみると、奥にのびるながいテーブルに、大きな男がひとり座っていた。
ここからみてもその顔にある眼鏡の汚れと、ネルシャツのくたびれ具合がわかる。
男の声は低く静かで、その気配もおなじようなのに、なぜかライアンの手が勝手に、銃をいつもさげている場所へのびる。
「ジョー・コーネルだ。 いまはサウス卿の農場で世話になってる《元聖父》で、ここにはウィルに送ってもらった。 このレストランであんたに会うことにしたのは、みんなが一度はいってみろってすすめたからだ」
立ち上がるとそのからだの大きさがさらにわかる。
ライアンは腰の右うしろにまわした手をごまかすように布にこすりつけてからさしだし、自己紹介しながら握手をもとめた。
あいてはそれがわかっているようにほほえみながらがっしりと手をにぎってくる。