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ファイル№39 ― 面会
ファイル№39 ― 面会 ―
ライアン・エバーソンはその日、朝からすこし緊張ぎみだった。
ライセット州のステラの森を担当することになったとき、もうこれで、必要以上の人たちにあうこともなくなると心の底から喜び、もうつけることもないかと思っていたタイをとりあげて、ひさしぶりに首を絞める。
わかれた妻が贈ってくれたものではなく、昨日自分で選んで買ったものだった。
あの日、自分が体験したことすべてが現実で、しらなかったことすべてが明るい場所にひきずりだされ、さらされて、そのすべてに立ち会うことになったのは、ライアンと、かわるがわるやってきた《警備官A班》の男たちだった。
殺されたスーフ族の遺体は、救急隊員によって一度警察署にゆき、検死をうけてから、むかえにきたエボフたちに引き渡された。
葬儀は彼らの仲間が多くすむ、コート州でするというので、ライアンも警備官たちといっしょに参列した。