慣れてる?
強すぎない風がとおりすぎ、雲がうごき、あたりが急に明るくなった。
「 ―― 空が生き返った・・・。もしかして、ボスが悪い精霊を撃ったのか?」
コルボクが信じられないというように雲が流れ去っていく空をみあげている。
「バートにも親父の骨董品の銃わたしておいてよかったな。なにしろあのひと、『悪い精霊』を撃つのは慣れてるからね」
ウィルが一気に光がさし輝きだしたあたりをみまわしながら、『狼男』へ寄っていき、自己紹介をはじめた。
ザックとケンも、きそうようにそこへ走り出す。
ライアンは、目にしている光景が現実とおもえなくて、足が動かせない。
まだにそばにいてくれた警備官の副班長である男が、ライアンの肩をたたき、同情するようにうなずいてみせた。
「 ―― たぶんこの件は、公なものと、ほんとうのものとで、別の書類がつくられると思うよ、そのへんの処理は、警察のほうなら中央地区の刑事をしてるマイク・ベネットにきくといい。あと、『狼男』関係は、そうだな、ウィルの知り合いの《元聖父》が出てくるだろうし、『教会』については、ベインっていうプロがいる」
やさしく背中をなでられ、ライアンはようやく夢からさめたような気分で、まぶしい太陽の光に目をほそめた。