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警備官って、
走り出そうとしたザックはがくんと衝撃をうけ、すぐに浮遊感が来て、《前転》しながらころんだ。
その間に自分がだした音とはちがう音と怒声がまじってきこえ、体勢をたてなおしたときには、ロビーからはなれて立つルイと、さっきとはちがうナイフを持つロビーが、むかい合っていた。
「 なんだかずるいなあ。さっきコルボクを呼んだのは、ぼくの視線をはずさせるため?いまぼくの足にあてた石のはいった雪玉といい、《警備官》て、ずいぶんずるいことをするんですね」
そうか、ひきとめたのはケンが雪玉をなげたからか、とザックは納得するが、後ろでコルボクと小声で何かはなしているケンの顔つきがけわしい。
「 ―― まあ、いいですよ。ぼくいま《クスリ》がきいてるんで、痛くないですし、あんたたちに抵抗するのはやめておきます。話し合いましょうよ」
「・・・ロビー、潔く罪を償え」
まだ座ったままのライアンが命じるのに、『相棒』だった男はナイフをふってわらった。