野犬は今
もうしわけありません。区切りしなおしました。
「 その、おもわせぶりな言い方はなんだよ? これだって『野犬』に襲われた動物たちってことだろ?」
ジャンのそれに、『野犬』ってこんな方まで住んでんの?とボードの地図をさすザックがウィルをみる。
いるだろうね、と前髪を邪魔そうにはらった男がうなずく。
「 そもそも、バーノルドの森に捨てられて犬たちが群れになってみつかったのって、最初そっちのほうじゃなかったかな?」
「ああ。『狼』の数が多くなったのか、って思われてたら、『野犬』が群れをつくって森で狩りをしてたってやつだろ?ニュースできいたな」
ルイがうなずくのに、レオンもうなずきかえす。
「『野犬』があのときバーノルドの森から、どうしてあんな寒い方へ移動していったのかは謎だが、そのあと大部分の『野犬』はまたバーノルドの森の方へもどってきた。 むこうに残った『野犬』たちが『狼』とまじわるのをふせぐために、保安官たちが罠で捕まえ続けていたし、いまではかなり数が減ったとみられてる。 それなのに、ひと月の間に、これだけ得物を食いちらかしてる」
保安官は、顔の傷を親指でなでながら、端末機をとりあげた。
「なあ、ひと月にこの数って、多いのか?」
ザックが小声でケンにきく。
「多すぎるから、おれたちにその《捕食者》を『狩り』にいけってことなんだろ」
「だからその《捕食者》ってのが、『野犬』じゃねえの?だって、それじゃないってことなら、なにがいるんだよ?」
声はちいさくとも、みんなに聞こえている。
いい疑問だ、とほめたレオンがボードにはった写真をとりはずした。