《 いい考え 》
引き続きご注意を。。。
そんなライアンの様子に気付いたように、ロビーはからだをはなし、上着のジッパーを下までおろす。
その匂いで、中に着ている保安官の制服が、どれほどの血をすっているのか想像できた。
「スーフ族が逃げ込んできたときに、こりゃ『狼男』もすぐくるなって思ったんだ。そうしたら、全部を『狼男』のせいにして、さわぎになったこのことも、きれいに終わりにできるなあっていう《いい考え》が浮かんだんですよ」
どす黒くよごれた制服をみせながら、ロビーはいつものようにちょっとこまったような笑い顔をみせた。
「『全部』?」
ききかえしたライアンは、コルボクがいつのまにか祈りを終えているのにきづいた。
ロビーの柔らかいともいえるはなしごえだけが、雪原にひびく。
「ええ。 ほら、ライアンがさわぎだした《獣の食い散らかし》、あれって、『犯人』はぼくなんですよ」
ロビーは《食い散らかし》を初めてしたときの、我に返ったあの瞬間を思い出していた。
―――
顔をおおっていた手のせいで、この世が暗かった。
なんだかとてもいやなにおいがする。
そっと手をはずせば、暗かった場所があかるくなる。
太陽だ。陽がのぼってる。
「 ああ 」
もれだした息のようなかすれた声は、自分のものだ。
声がでるのにほっとした。
が、
見下ろした両手は、 ―― 血まみれだった。
―――
あの、恍惚感と罪悪感がいりまじり、からだはまだ興奮したままの状態で、性器はたちあがり、からだからは湯気がたちのぼっていた、 あのときを。