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審判のように
ライアンはその二人が審判であるかのように、からだをむけた。
「・・・それなら・・・」
これから聞くことは、ほんとうならコルボクへ直接聞きたかった。
だが、彼はまだスーフ族の言葉で祈りをつづけて、こちらの会話をきいていないだろう。
いや、きいていなくていい、とおもいながらライアンはゆっくり口をうごかした。
「 ・・・なら、《狼男》に 仲間が 殺されたら ? 」
この問いがくることを、《審判》二人はわかっていたようにそろって左手をあげてみせた。
「『狼男』も神の遣いの仲間だから、もちろん左手で『仲間が殺された』ことをあらわすだろうな」
ジャンは静かな目でライアンをみた。
ああ、こいつら・・・なにか・・・わかってるのか・・・
このときようやくライアンは、どうしてレオンがここへ《警備官A班》をおくりこんだのか、理解できたような気がした。