仲間で友達のライアン
「 先月、『ステラの森』で、まず、ここに貼った写真の、鹿の遺体が見つかった。 発見者はライセット州の自然保護区の保安官だ」
「つまり、お仲間?」
前髪をはらうウィルにまゆをあげたレオンは、警察官とは《仲間》の意味がすこしちがう、と顔の傷を親指でなぞる。
「 おれたち『保安官』は地域はちがっても、横のつながりが強い。―― このはなしも、おれの『友達』のライアンがもってきたものだ」
ジャンが手をあげる。
「その鹿の写真をとったのが、ライアン?」
レオンはにっと口端をあげると、ぜんぶだ、と端末をはじいた。
端末機に送られたのは、二十枚ほどの、動物の死骸だった。
画面上には、白い雪を赤く染めて横たわる鹿や鳥類、小型の哺乳類などが写っている。
「これらの野生動物が、ひと月の間に襲われつづけた」
『野犬』にじゃなくて?というザックの質問に片手をあげて微笑んだ男は続ける。
「どの写真も、撮ったのは彼で、これらの対応は、もちろん数少ない保安官がしなきゃならない。ライセット州の彼の担当区域は、ほぼ、森と山と雪原で、家は二軒、そこには四人しか住んでない。 道でひきにげ『事件』でもおこったら雪原を超えた街の警察署にいかなきゃならないが、森や山での『事件』、山での遭難、森での事故なんかは保安官が対応する。なにしろ事件がおこっても、原因は、足をすべらせて落ちて死んだ、とか、狩猟者仲間に間違えて撃たれたとか、はっきりしたものばかりだったからな。 ―― いままでは」
最後につけたされたそれに、警備官たちがいやそうな顔をみあわせた。