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ファイル№33 ― 神へ伝える




  ファイル№33 ― 神へ伝える





   「さらに銃で撃ったよな?」


 ケンの追加するような言葉に、いいかげんにしろ、とライアンが怒鳴ろうとしたときに、コルボクがまたはげしくあばれだした。

「 ナイフで喉をきったのか!?なんてことを!おれたちは死後の世界で仲間をよばなければならないのに喉をやられたら仲間をよべない!」

 驚いたことに最後は泣きそうに声をふるわせ、力をなくしたように首をたれると、ザックがわからない言語でなにかを唱えはじめた。


 ケンがコルボクから腕をとき、ザックにも腕をはなすよう目で合図する。

「スーフ族の『祈り』だ。 《仲間の魂がそっちにいくからみつけてくれ》って、先祖の魂によびかけてる」


 コルボクは雪の中に両膝をつき、頭を雪の中につっこみながらもなにかをとなえ続け、頭をもどし、胸の高さにあげた両手の動きをそれにくわえた。


「あれ、手話しゅわか?」

 ザックがその手の動きの『意味』を知っていそうなケンにたずねる。


「まあ、『疎通』っていうのは同じかもな。 あれは、あいつらの《神》に、右手と左手をつかってこっちで『起こった事』をつたえるんだ。ほら、右手で『仲間が殺された』ってやって、左手で『先祖がむかえにくる』ってやったろ。それをあわせて《むこう》で受け入れてくれるように《神》に伝えるための祈りをする。 狼狩りのあとにも、ああやって祈るぜ。右手で『仲間で狩りをした』ってやって左手で『狼は死んだ』ってやるから、《右手が人間》って意味らしい。あいつら、《左手が神聖》だとかきいたからな」



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