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保護の順位
ザックはまだケンにひきとめられたままで、ウィルも銃はむけているが、動かない。
「たすけてくれ!!狼男に気をつけろ!」
通り過ぎたコルボクをふりかえって叫んだロビーの顔と髪には、べったりと血がついている。
ザックはまだ上着をつかまれたままだったが、我慢できずに、ロビーへむかってはしりだした。
意外にも、つかまれていた上着は、簡単にはなされる。
むこうで『狼男』のもとへついたコルボクが、手をかして、そのまま『狼男』といっしょに雪の中にたおれこむのがみえた。
「コルボクはなれろ! ケン!はやくコルボクを助けないと 」
ザックがふりかえってさけぶが、なぜかケンはまだ動こうとしない。
左手がまた、あのときのように痛むのかもしれないと、眉をよせたケンの顔をみて心配になったとき、こちらへ駆けてきていたロビーに体当たりするようにだきつかれ、そうか、こっちの保護が先だ、と気づく。
「ロビー、大丈夫か?どっかケガしてる?」
首をふったロビーはザックの腰に両腕をまわしてすがりつくと、「はやく狼男を始末してくれ!」とさけんだ。