ファイル№33 ― 合流
ファイル№33 ― 合流 ―
ザックは、やっぱり寒い雪山はすきじゃないという結論にたどりついたが、口にだすのはやめておいた。
代わりに、膝まである雪を踏み崩すように先頭をゆくウィルが、雪はもうふらないかな、と言って、まだ暗い空をみあげる。
ひどく暗い。
コルボクが、おなじようにみあげ、風が死んでいる、と空をにらんだ。
ザックのとなりをゆくケンが、くっそ、と短くつぶやいて、左手をふった。
真っ白な雪に、血が点々ととびちる。
「おい、平気か?」
なにしろ、この傷ができたときに倒れたのをみているので、心配になる。
「いてえ、けど、これも《警戒の合図》かもな」
こちらをふりかえった顔は白いが、いつものようににやけた顔でそうこたえた。
ヲヲ オオオ うう おおおおおお ヲヲおお
「ほらな。やつらも同意してるだろ?」
このふざけたこたえに、コルボクが真顔でうなずく。
「警戒しろ。風が死んで空も死んでる。 なにかおかしい気配が近づいてる」
「その『気配』って、・・・あれのことだったりして?」
立ち止まったウィルが上着の中から銃をつかみだしていた。