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偵察へ


「『野犬』か? それとも、サマンサのところまでたどりつけなかったか、もしくは、もどってきた『狼男』か?」

 ウィルが骨董品の銃をとりだし、シリンダーに装填された弾を確認する。



「ちがう。《狼》だ。これは警戒の合図だ。狼同士で合図しあってる」

 コルボクが立ち上がった男たちに動かないよう手で制する。

「 ―― なにかが、起こる」




  ヲ オ  ぉ ぉ ぉぉぉぉ ぉぉ お  オオオオ  ウウウううう



     ヲ オ ウウウ ぉ ぉ ぉぉぉぉ ぉぉ お  オ  ヲウゥゥ 

  




「なんか、・・・この遠吠えですごいあせった気持ちになるのって、おれだけ?」

 ザックがそわそわとみんなをみる。


 コルボクとケンがそろってバートをみる。バートはウィルに目をおくる。


「わかったよ。おれが先頭でみにいけばいいんだろ?」

 古くて重くて無骨な銃をなでるようにして脇にしまう。



「『狼男』が襲ってこないかぎり、撃つな」


 めずらしく指示をだした班長チーフにウィルは眉をひそめた。


「秘薬の瓶が転がってたろ?テリーが心配したとおり一気に飲んだなら、百歳すぎくらいになってるかもしれねえし、そんな年寄に銃をむけたのがバレると、レイがしばらく怒ったままになる」

「いまの意見は聞き流せ。おれは、ウィルの判断でいいと思うし、いっしょにいるはずのスーフ族が心配だ」

 ジャンの言葉に、そうするよ、とうなずいたウィルの肩を、ケンがたたいて自分が先にゆく、と宣言する。

「左手がいてえ。傷がひらいてきた」


 チョコレート菓子をくばったところから手袋をはずしていたのはザックもしっていた。

 みんなにむけてひらいた左手の真ん中の傷が、ぷちぷちと音をだし血を泡立たせている。


「おれもいく」

 おもわずザックが言うと、ウィルもうなずいた。

「そのかわり、はりきって前にでるなよ。ケンと一組でうごけ」

 いつもだったら言い返すところだが、顔色のわるくなったケンをみて、おとなしくうなずくことにした。



「これは偵察だ。無事にもどってこい」

 こんどは班長らしいことを口にした男にうなずき、『偵察班』は暖かく安全な雪のドームをとびだした。








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