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つくった《秘薬》は
「《変わっていた》と聞いてる。こどものころからずっと、いい土地があったらもう移動しないで、そこで畑をつくったほうがいい、と一人だけ言い続けていたらしいから」
いいながら、ようやく三本目の指を折ると、『狼男』は争いを好まない、とまたいった。
「 ――《教会》に先住民族を集めて、『狼男』はきっとなにかする気だろうとダゲッドム族は疑った。交流するための場所をつくりたいと言い出したのもアマンダだったが、ダゲッドム族は信じなかった。薬草や知識をすべてわたすと言ってアマンダをとりあげたあと、教会にほかの先住民族をあつめて、ダゲッドム族を襲うつもりだろう、と疑った。彼らはけっきょく、『狼男』をおそれていた」
おれたちとはやはり、考え方がちがう、とザックに被せた毛皮のフードをみた。
「 ―― だから、『狼男』はダゲッドム族に、《狼男が歳をとるための秘薬》のつくりかたをおしえ、それを自分に飲ませつづけるようにいった」