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ファイル№28 ― 惨状
ご注意を! ここより血と残虐な描写がはじまります。
ファイル№28 ― 惨状 ―
そこにぶちまけられ、あふれかえっていたものは、鮮血だった。
居間と台所のあいだにおかれたテーブルの上に、あおむけに倒れているスーフ族の男は、首からまだ血をあふれさせている。
そのテーブル下で横をむいて倒れた男も、同じように喉をやられていた。
たてかけてあるドアはそのままだが、玄関には血でできた、はだしの足跡と、ブーツの足跡が入り乱れている。
さっきまで晴れていたはずの空はいつのまにか、雪をふらせていた。
「 う、・・そだ・・・」
テリーの顔が蒼白になる。
ようやく息をついだライアンも、めまいがした。だが予想したロビーの死体は、どこにもみあたらない。
いそいで外にでようとしたら、足をいきなりつかまれ、ひきつった声をもらしてしまった。床に倒れているその男は、まだ息があった。
こんな確認もしてないなんて・・・
落ち着けと自分をしかりながら、テリーに救急隊へ連絡するように指示する。