たすけてくれ!
「ちがう。ないよ。なんども言うけど、サミーは暴力はふるわないよ」
「よくきけテリー。さっきおれにかかってきた電話は《警備官》からで、それによると狼男をつれだしたスーフ族が一人死んだ」
「しんだ!?」
叫んだのはテリーではなく、部屋の外に立っているロビーだった。
「ちょっとまってください、きいてないですよ。 それに、なんでまだ山にいるあのひとたちと携帯電話がつながるんです?」
「わるかった。いいだすタイミングがなかった。 つながったのは、・・・あいつらの装備予算はおれたちの倍以上だからだろ」
保安官同士のはなしをきいていたサマンサがいきなり大きなかすれ声で笑い出した。
「ついに本性をあらわした!ほらテリー!あいつはついに人間を殺した!」
「ち・・ちがう。サミーじゃない。サミーがそんなこと、」
たすけてくれえ!!
外で発せられたそれに、ライアンはすぐに下へはしり、アニーは窓から下をみた。
「スーフ族だ。 メリッサ、サマンサといっしょに浴室にかくれて」ライフルをとりあげたアニーは、テリーの背中をたたく。
「もし狼男があたしたちを襲ってきたら、撃つよ」
「あ、アニー、」
「わかってる。とりあえず、足を狙う。それでいい?」
「・・・ありがとう・・・」
テリーはメリッサがうなずくのをみて、母親にむけ、メリッサにしたがって静かにしてるようにと、《命令》しながら下へむかった。