184/260
テリーにとって、
それを、こどもの言い分をきくようにやさしい顔でうなずいたメリッサは、サマンサになにかいいかけたアニーをふりかえり、首をふる。
「ねえ、サマンサ。ドアはまたなおせるわ。でも、テリーにひどいことを言って傷つけてしまったら、それはなおせない。 テリーも同じよ。ふたりとも落ち着いて」
老婆はふん、と鼻をならし、息子はなんどもうなずいた。
だが、すぐにテリーがまた、操られてるんじゃない、とはなしをむしかえす。
「 ―― おれは、サミーと友達なんだ。はじめてできた男の友達で、なんでもはなせる。おれのこともわかってくれる《いい友人》なんだ」
しぼりだすようなそれに、さすがにライアンの胸が傷んだ。
この男はダゲッドム族という種族と母親を、否応なしにせおわされて、ずっとここまでやってきたのだ。
「 なあ、テリー、だけど、狼男はもうすぐここにやってくるかもしれない。 そのときに、もしサマンサに手をだそうとするなら、おれたちはそれを阻止しなきゃならない」
わかるよな?というように、細い髭面をのぞく。