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ファイル№25 ― 追う
ファイル№25 ― 追う ―
教会からあの崖をおり、それにそって痕跡をさがせば、後ろの山へとつながるあたりに、ようやく踏み荒らされた雪がみつかった。
「彼らはここまで、わざと風がふきつける方向をまわって進み、消した足跡がさらにこの吹雪でかくされるのをみこして道をえらんでいる。 が、―― 遠回りだな」
ザックの横でジャンが面倒そうに踏み跡ののこる斜面をみおろした。
その足跡が続いている山小屋とは逆の方向にある谷あいは、教会までの最短距離のルートからは、離れている。
「おれたちはあんたらと違って、獣がえらびそうな道をとおって、上にのぼっていった」
足跡をにらむコルボクが、その途中であんたらの声をきいて《煙草》をプレゼントしたんだ、と高台になっているむこうの方をさす。