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追う
「A班は連れ去られた『狼男』を追う。 ―― 保安官たちはここからアニーに連絡して、サマンサを押さえておいてくれ」
警備官の班長は指示をだすと、部屋のすみにおいた荷物のほうに移動し上着をぬいで、あらためてべつの装備を用意しはじめる。班員たちもそれぞれ準備しはじめた。
「待て警備官。おれたちもいく」
ライアンが続こうとすると、ルイが首をふってドアをゆびさした。
「おれたちがこの教会にはいってから、また、雪もふってきて、ふぶいてるみたいだ」
それをたしかめるように濁ったガラスをのぞきこんだザックが、やっぱ、天気は味方しなかったかあ、と残念そうに手袋をはめる。