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さあ、どうする?
パチン、とジャンが指をならした。
「 ―― これで、教会の裏から石垣のそとにあったたくさんの足跡の説明がつくな。『狼男』は裏から連れ出されて、教会の正面からはふつうにあのロープのところまでいって、下におろされたんだろ。 さあ、どうする? ほんとうなら、先住民族どうしのもめごとだから、おれたちは首を突っ込むべきじゃないだろうけど、誘拐された『彼』は、おれたちが調べたいことについて何か知ってるかもしれないし、 ―― なにより、スーフ族からおれたちは、いい贈り物をもらってるしなあ」
副班長は班長へと目をむけた。
怒りで顔をそめたエボフの手から、ケンが手紙をうばいとり、ザックにみせてわらう。
「チームのボスにあてた手紙にしちゃ、愛想がねえよな。『おれたちは《狼男》を認めていない。ダゲッドム族に直接売り渡すことにした』ってよ」
ケンが読み上げた内容に、テリーが叫び声をあげ、タタにつめよる。
だが、タタも驚いた顔で、おれはしらなかった、と髭を揺らしている。
エボフは返された手紙を片手でにぎりつぶし、暖炉の火になげいれた。