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意味がわかんねえ
「タタの言葉の意味は正しい」
スーフ族のボスが断言した。
「 ―― すべては、狼男に与えていた『秘薬』のせいだ」
指にはさんだ葉巻をゆっくりとゆらし、はなしはじめる。
「 テリーがひきついで作っていた『秘薬』は、狼男を『年寄』にするための薬だ。 作ったのは《狼男》で、それを自分に飲ませるようにすすめたのも、《狼男》だ」
はあ?と声をあげたザックは、ケンの顔をみてから、ほかのみんなをみまわし、エボフをみた。
「『情報が混み合って』るうえに、意味がわかんねえんだけど、 ―― でも、それっておれだけじゃないみたいだから、安心した」
両手をひらいてみせたとき、奥からテリーの騒ぐ声がもどってきた。
「タタ!サミーが部屋にいない! ベッドに手紙があったけど、おれの読めない字だよ。それに『秘薬』の瓶がころがってて、中身がのこってなかった。まさか一気に飲んじゃったのかな?どういうことだろう?彼はどこにいったんだ?」
不安と動揺で顔を赤くしたテリーが、手紙をふりながらタタをみて、けっきょくそれをエボフに渡す。