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混み合う情報
ここで、エボフはザックとケンをみて言った。
「おれの爺さんは狼男と友達だった」
「ともだち?」
ザックの疑問に、エボフは嬉しそうにうなずく。
「『ともだち』だ。いっしょに酒を飲み、はなしをする仲だ。 《狼男》は知恵があって静かな男で、あることがきっかけで、《ダゲッドム族》と、特別な関係になった」
「アマンダだな?」
壁にもたれたバートが発した名前に、エボフは表情もうごかさずうなずいた。
「 そうだ。サマンサの従妹のアマンダは、《狼男》と恋におちた」
それってほんとうに恋愛?とウィルがばかにしたように前髪をはらう。
「あちこちからの情報が混み合ってて、どうにも困るんだよね。だからさ、やっぱり本人にきくのがいちばん早いと思うんだけど」
本人って?と眉をよせるザックに、『狼男』のこといってんだろ、とケンが教えてやる。